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お産が多い日を予想する [分娩]

少し前にも書きましたが、

お産は多い日とそうではない日があります。

うちの病院は、年間の分娩数が400を少し超える程度なので分かりやすいほうだ思います。
一日、3人生まれたらそこそこ多い、くらいのカンジだからです。

うちの病院では、助産師さんたちが、
その月の「月の満ち欠け」を描いた小さな表を休憩室の壁に貼ってたりします。
「自分が夜勤の夜に忙しいか」を占うのでしょう。
雨が降る日や、嵐の日もお産が多いようです。
何年か前に、何回も大型台風がきた年がありましたが、
台風が通過する夜は、なんとなくお産が多かったような気がしました。

じゃ、今の、梅雨の時期はどうかというと、意外とよくわかりません。
こないだ、予定日を過ぎてもなかなか陣痛がこなくて、
やきもきしてるエジプト人の妊婦さんに、
 「明日は、低気圧で雨が降るそうだから、きっと産まれますよ。」
なんて気軽に、励ましてたら、大笑いされました。
どうやらツボにはまったようです。

「エジプトでは雨が降らないから、そんなことはいいませんよ。」
 「じゃ、どうやってお産が多いか、少ないか、わかるの?」
「だから、そんなことはないのですよ。」

エジプトでは、陣痛がくるのに、雨も月の満ち欠けもあまり関係ないようです。

世界中の助産師さんたちに聞いてみたくなりました。
産婦人科医として、自分の限界ある馬力を、効率よく使うのに、
どうしてもお産が多い日を知ることは有効だと思います。

もし、どなたかそんなジンクスみたいな、外国の話を知っている方がおられたら
教えてください。


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胎児の、声にならない叫びを聞く [分娩]

分娩監視装置は、ボクたち産婦人科医にとって大切な器械です。

60年程前にアメリカで開発され、いまや周産期領域ではなくてはならないものです。
トランスデューサという二つの丸い円盤型の器械をお腹に押し当て、ひとつは子宮の中の胎児の心音を聴き、もうひとつで子宮の硬さ、つまり子宮収縮を感知します。
胎児心拍数と陣痛を同時にモニターすることで、胎児の様子が手に取るようにわかるのです。

このトランスデューサには長いコードがつながっていて、ちょうど健康診断のときの心電図のでかいのがふたつお腹に付いてるようなカンジです。
当然、双子ちゃんなら3つも付くわけです。
コードレスのトランスデューサも売っていて、デモ機でお試しに使ってみたらいい感じです。
ただ、値段もそこそこするのでそんなに簡単に手が出るものでもありません。
この分娩監視装置が、一部の産婦さんになぜか評判が悪いのです。

こないだも、ある経産婦さんがバースプランにこう書いていました。

「分娩監視装置は最小限にしてください。」
と。

 「やっぱり、モニターはイヤなんですか?」
「はい。」

そんなの当たり前でしょ、って様子です。
この方は、前回のお産は助産院でした。
例に漏れず、B群溶連菌が検出されて、泣く泣くうちの病院で産むことになったのです。

 「どこがイヤなんですか?」

別に追いつめる気持ちでもなく、ちょっと突っ込んで聞いてみました。
初対面のひとにこんな聞き方をしたらケンカ売ってるみたいかもしれませんが、
すでにこの方は何回も健診を受けておられるし、
これはむしろ、お産を前に、お互いを理解するための会話です。

「繋がれてるってカンジがイヤなんですよね。」
 「でも、この器械、すごく安心なんですよ。」
「はあ・・・。」
 「赤ちゃんの状態が手に取るようにわかる器械なんですよ。」
「・・・。」

 「おなかの赤ちゃんの、声にならない叫びを聞く器械だと思ってください。」

じっと考えたこの方、
「そうですよね。 よろしくお願いします。」
と、十分に納得してくれた様子で診察室を後にされました。
・・諦めただけなのかもしれませんが。

しばらくして無事にお産をされて、元気な赤ちゃんと一緒に退院となりました。
もちろん、助産師さんの配慮で胎児モニタリングも最小限にして、安産でした。

分娩中に胎児の状態が急変することはけっしてめずらしありまあせん。
この方だって、その可能性があったはずです。

やはり、「分娩監視装置」っていう名前が悪いのでしょうか?
いつから、分娩監視装置が自然分娩の敵になったのか知りません。
少なくともボクの担当する妊婦さんには納得して装着してもらいたいです。

そして、これからも元気な産声をもっともっと聞きたいです。


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新しい命が教えてくれたもの [分娩]

クリスマスイブの夜、ボクは当直でした。
ケーキを夕食後に食べたせいか、当直室ですこし胸やけがしていました。

午前3時半、当直室の電話が鳴りました。
当直室の分娩監視装置のモニターには今にも生まれそうな胎児の心拍図が刻々と流れています。

「そろそろお産です。 分娩室1にお願いします。」
 「ほいほい。」

当直室から分娩室に小走りで向かいました。
分娩監視モニターにでている妊婦さんの名前は、あの、先日、ボクがキレれしまった方です。

 「ほらね、ちゃんとボクの当直の夜に来たね。」

分娩室の前にはご主人とご両親が腰かけていました。
眠そうなボクをみて、ご主人がホッとした様子で、

「よろしくお願いします。」
 
この間のこともあるので、ちょっとだけばつが悪い感じがしました。
でも、こういうとき、知った顔のドクターだというだけで安心できるのでしょう。

分娩室では、もう胎児の頭が見え隠れしていました。
ただ、もう少し時間がかかりそうです。
内診すると、産道はだいぶ柔らかくなっています。

 「あと、ひといき。」

しかし、胎児の心拍数が徐脈になってきました。
少し前から助産師さんが酸素吸入マスクを顔に当ててくれてました。
そして、3、4分しても回復しなくなってきました。

もともと、赤ちゃんが小さめで、羊水も少なめであることは分かっていたので、
想定の範囲内です。

 「〇〇さん、もうすぐ生まれそうなんですが、赤ちゃんがしんどそうなので、手伝いますよ。」

吸引分娩です。

手際良く、準備をして、陣痛に合わせて、1回の吸引で無事赤ちゃんは生まれました。
胎児心拍数が低下し始めて10分ほどでした。
羊水がドロドロに濁っていましたが赤ちゃんはたいして飲んでいなかったようです。
まもなく、元気に泣き始めてくれました。
念のため、小児科の先生に診察してもらいました。
赤ちゃんは呻吟(しんぎん)があり、呼吸状態観察のためにNICUに入院になりました。
体重は2500グラムを少し下回っており、低出生体重でした。

小児科の先生が診察をしてくれている間、ボクは会陰切開の縫合をしながら、この方と話していました。

 「なんとか、無事に生まれてよかったですね。」

「ほんとに。 元気でよかったです。」
 
 「クリスマスですね。」

「誕生日プレゼントとクリスマス、一緒にならないようにしないと・・・。」

 「名前は決まってるんですか?」

「候補が3つあるんですが、なかなか決められなくて。」

言葉は少なかったですが、無事に生まれてきてくれたことに対し、
しみじみと安堵されているのが伝わってきました。

処置が終わり、赤ちゃんの顔をみて、小児科の先生の説明の後、赤ちゃんはNICUに連れていかれました。

 「妊娠中、しんどかったですか?」

「はい。」

 「それで、学校の方はうまくいきました?」

「授業はなんとかできました。 あとは試験があるんですが、そっちの方がどうなることか・・。」

「でも、気づいたんです。 先生に、この間、『無理するな。』っていわれて。」
「赤ちゃんのことを一番に考えようって思いました。」

 「そうですよね。」

「学校の先生も言われました。 そっち(妊娠)のほうが勉強より大事だって。」

赤ちゃんにとって自分の代わりをする人がいないこと、勉強は後からでもできること、いろんなことをこの短期間の間に、周囲の人から教えられたというのです。

 「子宮の中で赤ちゃんを育てることと、産むこと、そして、母乳をあげること、これ以外は自分でなくてもできます。 これからは、自分ひとりで育てなくてもいいんです。 旦那さんやご両親に、手伝ってもらえるように甘えることも大切ですね。」

お腹の中にいるときから、すでに赤ちゃんに多くのことを教えてもらっていて、今日からは「母親」として、自分の人生を切り替えていかなきゃ、と思ったというのです。

 「(もう、安心や)」

これ以上、この人になんの説教も必要ないと感じました。

ボクがこの方とゆっくり話していたせいか、血に弱くて、分娩室の外で待っていたご主人が心配して、カーテン越しに話しかけてきました。

「妻は元気なんですか?」

 「もちろん。」

分娩時に吸引分娩になった経過と赤ちゃんの状態を家族にも説明し、ボクは分娩室を後にしました。

当直で、自分の息子たちがサンタからのプレゼントあける瞬間のニヤけた顔をみることができませんでしたが、それ以上に素敵な朝を迎えたように気分でした。

すべての子供たちに、サンタクロースが素敵なプレゼントをしてくれますように。

メリークリスマス!
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そうするよりほかになかった [分娩]

夜中に携帯電話が鳴りました。
「ほい、きた!」と思いながらも、夜中にかかってきたときは、
起きていたとしてもなぜか、わざと少し眠そうに電話にでます。

 「・・・はい?」
「先生、産科病棟ですが、お休みのところすいません。 〇〇さんなんですが・・・。」

 「おーっ、陣痛が始まったん?」

実はこの〇〇さん、お産の時はどんな時でもボクが駆け付ける予定でいた妊婦さんです。
長年産婦人科医をしていると、自分の患者さんの中で誰がそろそろ陣痛が来るかが分かります。
電話がかかってきた瞬間に、出産予定日の少し前でしたが、この方だと直感しました。

「・・・いえ。 それが、ご自宅でお産されたそうです。 今、連絡がありました。」
 「ありゃりゃ。 で、赤ちゃんもお母さんも大丈夫?」

聞くところによると、すでにお産されてから2時間以上たっており、あくまでも本人の判断ですが、母児ともに健康だそうです。電話はこれから病院に入院してよいかという連絡でした。
落ち着いているのなら、救急車ではなくて、旦那さんに連れてきてもらうことにしました。

 「赤ちゃんが冷えないようにだけ伝えといて。」

そう言って、ボクは病院に向かいました。
自宅で分娩してしまった赤ちゃんのほとんどが低体温になり、NICUなどに入院します。
駆け付けた救急隊にも可能な限り、冷やさないようにと連絡します。
車で病院までいくのにほんの10分ちょっとなのですが、こういうときは病院までが長く感じます。

この方の自宅もうちの病院の近くだったので、すでに到着しており、小児科の先生が赤ちゃんを診察していました。
「やはり、低体温ですね。 それ以外は今のところ、お元気です。」と、小児科の当直の先生。
 「よかった。」

真っ青になって倒れそうにして車いすに座っている、この産婦さんを分娩室のベッドに横たえ、
ボクは脈をとりました。
 顔色は悪いけど、血圧や脈拍はしっかりしてる。
 少し、ぼーっとしている印象もある。
 少しは貧血があるかもしれないな。
いつもなら、すぐに診察(内診)するのですが、今回はまず、この方の横に腰かけて、話しかけます。

 「お疲れさん。 痛かった?」
「大丈夫でした。 赤ちゃんが賢くて、順調に出てきてくれたと思うんです。」
 「そう? でも、顔色悪いよ。 くたびれた? それとも出血が多かった?」
「出血はありましたけど、そんなに多いとは思いませんでした。 それより、ちょっと眠いです。」

貧血の時は、患者さんは眠気を訴えることが多いです。

 「ちょっと失礼。」
そう言って、用意した超音波でお腹から子宮をみてみます。
 「子宮は大丈夫そうだね。 よく戻ってる。 あと、貧血の検査をしましょう。」
「お願いします。」

貧血はそれほどでもなかったのですが、脱水状態でそういった検査結果になったかもしれないと判断し、念のため、点滴をすることにしました。実際、半日間、まったく飲まず食わずだったそうです。

この方、実は、妊娠後期まで助産院でお産をする予定でした。

例にもれず?、B群溶連菌が膣内から検出され、途中からうちの病院での分娩を勧められました。
B群溶連菌の新生児対する危険性を十分に説明し、分娩前の抗生剤投与などの医療行為は助産院ではできないため、、うちの病院で安全にお産しましょうと納得してもらっていました。

うちの病院には、助産師外来があり、バースプランなどを話し合う機会があります。
多くの初産婦さんはここで、不安や希望を相談し希望する自分なりのお産を表現します。

そして、ワープロで整然と打ったこの方のバースプランは、A4サイズの紙で10枚以上に及びました。
そのなかには、この方の「お産に対する思い」が綴られており、臍帯や胎盤の処理までこと細かく希望が書かれていました。
そして、後半の方にはこの方の幼少期からの経験につらいことがたくさんあり、最終的には病院に対する恐怖心がどうしても拭い去ることができないという内容が書かれていました。

どうしても病院が怖い、だから、助産院でお産がしたかったと。

ボクは、週1回の妊婦健診で、それなりに十分な時間をとり、
この方の妊娠経過が全く問題がなく、心配する必要がないと説明しました。
あくまでも、お産は自分自身がするもので、病院はなにか異常がある時だけ介入しますが、
あなたならどこにいても、きっといいお産ができるでしょう、と励ましました。
そして、うちの病院でお産するのは、あくまでも「赤ちゃんの安全のため」であり、
母親として、そのためにすこしは頑張って我慢しなきゃいけないこともあるでしょう、と付け加えました。

 「まだまだ、ボクは信頼されてなさそうやな。」

患者さんが自分に対して、心から信用してくれているかどうかくらいは分かります。
たしかに、母親が自分の赤ちゃんの安全を第一に考える、「母性」を信用しすぎたかもしれません。

結果として、この方は、『自宅分娩』という究極の選択をされました。
助産師もなく、ご主人と二人だけ(いや、赤ちゃんと3人)で。

さらには、抗生剤未投与による要観察、低体温、低血糖という新生児管理・治療が必要になりました。
とはいっても、これくらいの犠牲ですんでよかったのでしょう。

病院に対する恐怖心が、ここまでさせるという事実を、ボクは謙虚に受けとめることにしました。
そして、きっとこの方は、助産院でお産することになっていたとしても、もしかしたら、最終的には自宅でお産したかもしれないとも考えました。
事実、この方が妊娠初期に、その前の助産院が自分には合わないと、違う助産院に変わっているのです。
B群溶連菌、助産院、病院、そしてこの方の過去のつらい経験・・・いくつかの状況を、詰将棋のように並べてみると、たしかに、答えは『自宅分娩』になったのでしょう。

何よりも大切で、かけがえのない、赤ちゃん。
それを守ることを、この方は頭で十分理解されていました。
そして、それ以上に、どうしてもできない状況があったのです。

「すべては赤ちゃんのため」という大義名分は、この方には通じませんでした。
この言葉は、むしろ、「母親になるならば大抵のことは我慢しろ!」という強制の裏返しなのかもしれません。

そこまで根が深い、この方の心理状態を自分が見抜けなかったことを反省します。

この方の「自分なりのお産」が本当の意味で、これからの育児にいい影響になることを祈るばかりです。



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もう注文はないです [分娩]

少し前に、注文の多い妊婦さんとして、双子ちゃんの妊婦さんのことをここで書きました。

結局、子宮収縮を抑える薬を使い始めて間もなく全身に湿疹が出て、その薬を使えなくなり、別の薬を使うことになりました。
 「あまり持たないかも知れないな。」
なんて、思いながら、毎日毎日、様子を見ていました。

「痒くて、痒くて、昨日も全然眠れませんでした。」
15分おきに目が覚めて眠れなかったといういう割に結構元気だったりして、
ボクも笑って、なだめすかして、なんとかやり過ごしました。

しかしながら、気がついたら、2ヶ月が経ち、予定日より少し早いですがついにお産になりました。

赤ちゃんは二人とも元気で、よかったです。

この方、最後の方にはほとんど注文はなくなり、もうどうにでもして、ってカンジでした。
病院に慣れたのか、諦めたのか、ボクにはよく分かりませんでしたが。

 「おめでとう。 長い間、よく頑張りましたね。」
「ホント、ありがとうございました。 赤ちゃんさえ元気だったら十分です。」

あれこれつけていた注文は、この方の不安の表れであり、
それをたまねぎの皮をむいていくように、
一日、一日、妊娠週数を重ねることでしか解決できなかったのです。
最終的には、元気な赤ちゃんの産声を聞いて、すべてよし、ということなのでしょう。

お産が終わって、部屋に行ってみると、

・・・やっぱり、抱き枕はありませんでした。

長期にわたる入院期間を、硬い硬い病院の枕だけで頑張ったのかと思うと、
結局この方はすごい根性の持ち主なんだと痛感しました。

ホントよく頑張りました。




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甘く見すぎたお産 [分娩]

先日お産された方は、もともと助産院でのお産を希望されていた方でした。
本人もご主人もドクターです。

妊娠後期に入り、助産院からうちに一度は健診を目的に紹介されてくるのですが、
とくに異常な所見もなく、これまでの妊娠経過にとくに問題もないので、
「頑張っていいお産してくださいね。」なんていいながら見送った方です。

その方が、予定日を2,3日過ぎた頃に助産院から再紹介されてきたのです。
理由は、「児頭がさがっておらず、子宮口が硬い」でした。
あと、強いていえば、「ちょっとお産というものを甘く受け止めておられる。」
というひとことが付け加えられているくらい?でした。

 「お産を甘く見ている・・??」

いまだかつてない、紹介理由です。
しかしながら、子宮口が硬い、という理由よりも、あとで付け加えられた理由のほうに何かしら深刻なニュアンスを感じました。

たしかに、2,3日前から陣痛の自覚があるようですが、痛いとはいうものの、子宮口は確かに硬く、
 「お産になるにはもう少し時間がかかりますかね。」
「えー!こんなに痛いのにー!」

少々不満のようです。
でも、陣痛が来ているといっている瞬間でも笑いながら話しているのです。
この辺が、助産院の助産師さんがやりにくいと感じたのかもしれません。

 「大丈夫。 ちゃんと生まれますよ。 もし生まれなかったら、あと、3,4日してまた受診してください。」
といいながら、ボクはその方を励ましました。

次の受診の日に、
「今朝から陣痛が来ているのですが、まだ生まれません。」
と、助産師さんと一緒にやってきました。
妊娠41週に入ったところです。

診察すると、子宮口はすでに3センチメートルほど開大しており、頭もよく下がってきています。
 「そろそろ、生まれるんとちがう、これ?」

それでも、助産院の助産師さんは、助産院ではダメでしょうというのです。

 「わかりました。 今日はいったんは帰って、もう少し陣痛が強くなったら来てくださいね。」

結局、陣痛がなくなってしまったみたいで、その日は連絡はありませんでした。
次の日、その方から病院に電話があり、
「奈良のほうで、42週まで診てくれる助産院が見つかったから、そっちで産みます。」

というのです。
 「はい、はい。 頑張ってね。 ちゃんと生まれたら連絡してね。」
そういうしかありません。
お産を甘く見ている、というのがなんとなくわかった気がしました。

そして、2日後にまた電話がかかってきました。
 「生まれたん?」
「まだなんですよ~。 奈良にいるんですけどー、全然進まなくて。」
その、奈良の助産師さんに電話を代わってもらって様子を聞くと、
やはり、全然子宮口が開いてこなくて、胎児の心音がときどきちょこっと徐脈になるというのです。

「先生、どうしたらいいの?」
 「そろそろいい加減にあきらめてうちに来なさいよ。」
つい、そんなことを言ってしまいました。

そして、1時間半ほどしてうちの病院にやってきました。
病院に到着して廊下を歩いているうちに破水してしまい、
急激に陣痛が強くなったそうです。
ボクが病棟でその人を見たときは、陣痛にあわせて、悲鳴を上げています。

「キャー!!」
ボクは、こんな調子で奈良から来たのかと思い、びっくりしましたが、
聞いてみると、悲鳴が出るほど痛かったのは、うちの病院に到着して破水してからだそうで安心しました。
羊水もそれほど濁ってなくて、ひと安心でした。

結局、子宮口が開くのにそれなりに時間がかかり、そうするうちに、流れてくる羊水がどんどん濁ってきたのです。逆に、羊水が分娩の途中からこんなに濁ることがあるんだとびっくりするくらいです。
胎児心拍モニターでも、徐脈が激しくなってきてます。
 
 「そろそろ生んだほうがいいね。」

この時、子宮口が9センチメートルになっていたので、酸素を吸ってもらいながら、
傍頚管ブロックして、産道をマッサージして、間もなく全開大になって、吸引分娩でポロリ。
その間、記録では20分ちょっと。
助産師さんが、隣の分娩室の別の産婦さんのところにいってる間に、
赤ちゃんの頭が出る直前までひとりでやっちゃいました。

羊水がドロドロだったので、すでに待機していた小児科のドクターに、
赤ちゃんを啼かさないようにしてそっと渡しました。
速やかに濁った羊水を吸引し、小児科ドクターの「大丈夫!」という合図を待ってましたとばかりに、
「おぎゃー!!」

 「よかった、よかった。」

赤ちゃんは保育器に入ることもなく、すぐにカンガルーケアしてもらいました。
小児科の先生に言わせると、うちの病院でなかったら(小児科医がいなければ)、
多分、後遺症が残るか最悪の事態になったかもしれないほどの濁った羊水だったそうです。

この方のお産に立ち会ってくれた、うちの病院の助産師さんが言ってくれました。
(彼女は、もうボクと8年も一緒に働いている超ベテランです)

「先生が当直じゃなかったら、あの羊水を見た時点で帝王切開してたでしょうね。」

褒めてもらったのかどうかわかりませんが、
たしかに帝王切開を選択することは間違っていなかったと思います。
ただ、少なくとも、あの時点で帝王切開を準備している時間よりは早く生まれました。

最初の助産師さんの判断がやっぱり正しかったのか、
奈良の助産師さんの見極めがギリギリセーフだったのか。

結局、お産を甘く見ていたのは、本人よりもボクだったのでしょうか?





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産婦さんと向き合う [分娩]

ボクがある助産院の嘱託医をしいていることもあるのですが、うちの病院には毎日のように助産院から紹介された妊婦さんが来られます。
ほとんどの方が定期的な妊婦健診のためなのですが、なかには、助産院では安全にお産できないという理由で紹介されてくる、つまり、助産院でのお産を断られた妊婦さんもおられます。

そんな中、先日も一人の妊婦さんがうちの病院に紹介されてきました。
この方、一人目のお産のときはボクが主治医だったんです。
二人目のお産をどうしても助産院でしたかったそうなのですが、ある理由で断られ、紹介されてきました。
どうやらボクは嫌われたみたいで(トホホ)、今回の外来担当医はボクではないドクターです。
外来で、「お産をした次の日にまた助産院に転院していいですか?」とそのドクターを困らせているのです。
よっぽどうちの病院が嫌われているんですね~。
・・・さすがのボクもヘコみますよ。

そして、その方と、先日、母親教室のあとで二人で話をしました。

「先生、申し訳ないんですが、今度分娩したら、なるべく早く助産院に帰りたいんです。べつにこの病院がイヤだっていう訳ではないんです。」
  (いや、あきらかに嫌がってるんじゃない??)
 「聞いてますよ。で、なにがあったの?」
「前のお産、母乳でこけちゃったんですよね~。だから今度は100%母乳でいきたいんです。」
 「それだけ?」
「はい。」

がっくり、というか、申し訳ないけど、少しアホらしくなりました。
安全に分娩できないという理由でうちの病院に紹介されて、まだそれもしてないのに、前のお産で母乳が出なかったのをうちの病院のせいだといわんばかりです。

 「母乳、出ますよ。」
「はあ?」
 「二人目なんだから、授乳は一人目よりラクですよ。 それより元気な赤ちゃん生まないと、吸ってもらえないでしょう?」
「でも・・・。」
 「うちは1ヶ月健診の時点だけど、90%以上が完全母乳なんですよ。」
「ええ?」
 (疑ってる・・。)
 「うちの助産師さんを信用したら?」
「別に疑ってません。」
 (いや、やっぱり、疑ってる・・。っていうか、自分自身も疑ってるでしょう?)
 
まったく納得されてなくて困りました。

実は、助産院の先生もこの方の強引なところに困惑しているとのことでした。
何を言っても聞いてもらえないんだと。
産婦さんと十分な意思疎通ができないことも、もしかしたらうちの病院に紹介になった理由かもしれません。
ただ、ひとつだけ気になることを先生はおっしゃっていました。

じつは、一人目のお子さんについて育児放棄気味なのだそうです。

つまり、一人目のお子さんは母乳が出なかったので育児を放棄したのか、あるいは、育児がうまくできないのを母乳が出なかったせいにしているのか、なにか深刻な背景があるみたいです。

いずれにせよ、実際にお産が終わってから、じっくりこの方と向き合ってみないといけないかなと思いました。

どうなることやら。



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助産院で産む、ってどんなこと? [分娩]

ある一人の妊婦さんがボクの外来に回ってきました。
1週間前、すでにボクが外来当番でない日に一度受診されており、検査結果を聞きに来られました。

診断名は、「不整脈」でした。

4人目の妊娠で、これまでの3人は紹介元の助産院で自然分娩されています。
今回も当然、助産院で分娩予定だったのですが、頻発する不整脈がみつかり、うちの病院に紹介されてきたのです。

脈を触診すると、話している間にもかなりの回数で脈がとんでいます。
うちの病院の循環器内科のドクターがホルター心電図を装着し、心エコーなどもすべて検査をしてくれていました。

「心臓の機能は異常はありませんが、24時間で37000回の期外収縮があり、分娩時には循環器内科医のモニター下で慎重に分娩する必要があります。」という結果でした。
つまり、1分間で単純計算で25回の不整脈があるわけです。

残念ながら、うちの病院には24時間体制の循環器内科医やHCU(心臓の集中治療室)はありません。
大学病院などの大きな病院での分娩が望ましいと判断しました。

妊婦さんにそのことを説明すると、
「えー! 今までのお産、なんともなかったんですよ。 〇〇先生はなんておっしゃってるんですか?」
助産院の助産師さんに聞いてほしいと訴えます。
 「うちの病院でも、危険だと考えます。 助産院は残念ながら、無理だと思いますよ。」
「納得いきません。」
 「上のお子さん、3人のためにも、お腹の赤ちゃんのためにも、あなたが安全にお産をするということがどんなに大切か、考えましょうね。 ここは、今までと切り替えて、がんばりましょう。」
「大学病院なんて無理です。 分娩台が嫌なんです。」
 「今の大学病院の病棟医長の先生は、ボクもよく知ってる、いい先生です。 ボクから彼にお願いしてみます。 お産の時に、モニターを付けるだろうから、そこの分娩室で産むことになると思いますが、フリースタイルのお産ならできると思いますよ。」

助産院の先生は、当然無理ですねと、あとの紹介はボクに任せるとのことでした。
うちの紹介した時点で、無理だと判断されていたようです。
妊婦さんにもその旨を伝えました。

そして、すぐに、ボクは、病棟医長の彼にメールを書き、すぐに返事をもらいました。

「フリースタイル、できる限り、希望に添えるようにやってみます。 分娩台の上ですが、ベッドのままで(足を上げないで)何とかしてみます。 」

彼自身、昔、自分の子供を畳の上でお産して立ち会ったのを知っていたので、予想通りの答えでした。
実に、クールで情熱的な彼の態度に久しぶりにシビレました。
 「これで安心や。」

そして、数日後、助産院から電話がありました。
「先日の方ですが、やはり、大学病院の分娩室がどうしても嫌だと言って、他の病院に行くそうです。 その病院なら、分娩室ではなくて、LDRがあるんだそうです。 そこで産みたいって。 いいでしょうか?」

 「・・・・。」

たしかに、その病院は十分なHCUもあるし、大丈夫でしょう。
うちの病院より、ずっと安心です。
でも、手術室みたいな、味気ない「分娩室」と、ちょっと家庭的なイメージのあるかもしれない「LDR」と、
その人がする、自分らしいお産に、どれだけの影響があるというのでしょうか?

それより、助産院で産みたかったけど産めなかった妊婦さんの気持ちを一番に考えて、一緒にいいお産をしてみようという、産科医としても一流の、最高のドクターのもとで、「安全」で、「自分らしい」、「いいお産」はできないのでしょうか?

来院するたびに違うドクターの外来に受診する(つまり、違う曜日の、違う時間に来る)のも、ボクたちが十分なコミュニケーションをとれなかった理由なのかもしれません。
最初から、ボクの外来にちゃんと受診していれば、紹介するまでに、もう少しはましな信頼関係ができていたかもしれないと反省しました。

それにしても、やはり、「助産院」や「せめてLDR」というカタチにこだわってしまうものなのでしょうか?

助産院で産みたいひとの全員がそうとはいわないです。
そんなことは、ボクが一番よく知っています。

このことで、クリスマスのなんだか楽しそうな雰囲気の時期に、やるせない気分になりました。

助産院で産むということの大切さをカタチではなくて、キモチで感じてください。
産婦人科医から伝えたいのはそのことです。

世界中の、すべての子供たちに、素敵なサンタがきますように!
メリー クリスマス!!








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赤ちゃんにごあいさつ [分娩]

先日お産をされた方は、妊娠38週に入ってから全身にむくみが出現したため、助産院からうちの病院に紹介されてきました。
妊娠初期から何度かうちの病院にもかかっておられるのでボクとは初対面でもなく、
「先生、結局帰ってきました。」
 「うちでもいいお産できるから頑張りましょうね。」
「よろしくお願いします。」
ってカンジでした。

とりあえず、むくみの治療です。血圧は正常で、タンパク尿もでてません。
まずは安静にして、減塩食にもするか。
助産院などでお産をする方に多いのが「歩きすぎ」です。ボクは以前にもこのブログで書いたことがあります。
安静にしているだけで治ることもあるから、と説明しました。

「でも・・・、そんなに歩いてないんですけど。」
と本人。横で、ご主人もうなづいてます。

血圧上昇がない限り、まずはこれくらいで様子をみます。
そしたら、よくなるどころか、毎日毎日少しずつ体重は増えていきます。
途中から足どころか、顔までパンパンになってきました。
そろそろ、産んじゃったほうがいいかもしれませんね、と分娩誘発をほのめかしました。

「はい。 実は主人が今週末からアメリカに出張なんです。 なんとか今週中に産みたいんです。」
待ってましたとばかり。

予定日が過ぎてまもなく分娩誘発を開始しました。
しかしながら、まったく生まれる気配がありません。子宮収縮はあるのですが、子宮口も開いてこず、途中からまったく赤ちゃんが下がってこないのです。

 「陣痛ってのはなかなか都合よく来ないもんですね~。」
なんていいながら、3日が過ぎました。
そして、誘発を始めて3日目の午後、ついに母体の血圧が上がり始めました。
もう十分なくらいの妊娠高血圧症です。

 「もうムリはしないでおきましょうか?」

高年初産、体外受精後妊娠など帝王切開を行うのに十分な理由は他にもありました。

 「よく頑張りましたけど、帝王切開がいいんじゃないですか?」
「私も、主人も、そう思ってます。」
 「じゃ、準備しますね。」

と、ボクは、これから行われる手術の説明を始めました。

「先生、ひとつお願いがあるんですけど・・・。」
 「なんですか?」

「陣痛じゃないのに、いきなり赤ちゃんが子宮から取り出されたら、びっくりすると思うんです。」
 「はぁ?」

「それで、赤ちゃんが生まれる前に、今から生まれるんだよって、ちゃんと声をかけてあげて欲しいんです。」
 「はぁ・・・。」
 
となりで聞いてたご主人は苦笑い、ってカンジ。

 「そんなオプションは今までしたことないけど、わかりました。 やりましょう。」

手術室に入り、麻酔科の先生が麻酔をかけ、消毒をして、シーツをかけました。
さぁ、これから手術開始です。

ボクは、ゴム手袋をした両手で大きなお腹をしっかりと掴み、

 「さぁ、今から先生が元気にうましたるからな! 頑張るぞ!」

そう大きな声で宣誓?し、メスを取りました。
あっけにとられたナースたちの視線を感じながら、おもむろに手術を開始しました。
そして、数分後、もちろん、赤ちゃんは無事生まれました。 元気でした。
妊娠高血圧とは直接関係がないと思いますが、臍帯がかなり短くて、それが足首に巻きついてました。
これがなかなか生まれなかった原因だったようです。

今までにも、患者さんからはいろんなリクエストがありましたが、このパターンは初めてでした。
たしかに、何の挨拶もなくて居心地のよい子宮からひっぱりだされたら、赤ちゃんの気分はよくないかもしれません。
でも、今から生まれるのをおなかの赤ちゃんに伝えるのは、医者の仕事ではないんじゃないの?なんてことも思いました。
ただ、お腹の赤ちゃんも、ひとりの人格として扱ってほしい、という気持ちの表れでしょう
聞いているのは母親でも、胎児に対するインフォームドコンセントを希望されたわけです。
ボクはそう納得することにしました。
まぁ、この人が機嫌よく、元気な赤ちゃんを産んでくれるのならこれくらいのことはお安い御用です。

それにしても、長く産婦人科医をしているといろんなことがあります。
ホント照れくさい、照れくさい。

元気な赤ちゃんが生まれて、ボクが照れくさかったくらいなら、それでもいいんです。
お母さんと赤ちゃんのためにできること、いつもそればかり考えてるんですが、
たまにはこんな変化球が飛んでくるんですね。

手術の後、照れくさがってたら、詰所で部下の先生が笑いながら、うれしそうにひとこと。

「また、ブログのネタができましたね!」

 「うん、今日のことは、たぶん、さすがに、書くと思うわ・・・。」

いろんな思いを胸に、これからも、産婦人科医は頑張ります。



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叱られました・・・ [分娩]

先日、一つのお産がありました。

初産婦さんで、朝から陣痛が始まり入院となり、少しずつ進行してきました。
夕方、5時頃に子宮口が8センチメートルまで開大し、うまくいけばあと1、2時間くらいで生まれるはず。

 「あと少し。 がんばりましょう。」

そう励ましながら、産婦人科医はじっと待つしかありません。
7時半には子宮口が全開大。破水もしました。
 「いいカンジや。 8時過ぎには生まれるな。 『チームバチスタの栄光』、見れるやん。」

などと鼻歌交じりで待っていました。

そしたら、そのあと、いくら待っても進んでこないのです。
夜11時まで待って診察したら、まだまだ時間がかかりそうでした。
原因はどうやら微弱陣痛です。

「先生、すいません。 こんな時間までかかってしまって・・・。 先生も大変ですねぇ。」
 「ボクは大丈夫ですよ。 たしかにちょっと時間がかかってるけど・・。 わはは。」

ボクの事を気にかけてくれるくらい本人は元気で、モニターでは赤ちゃんもすこぶる元気です。
こういう状況では、陣痛促進剤をつかって陣痛を強くしてあげるのことが多く、ボクはそれも考えました。
しかし、この方は大きめの子宮筋腫もあり、変に手を出しちゃうと裏目に出ることもあると思いました。
それに、今、促進剤を使っても効いてくるのに2、3時間はかかるだろうし、無理に真夜中にしなくてもよいのではと考えたからです。

 「お母さんも赤ちゃんも元気だし、もう少し自然に見て、赤ちゃんの頭が下がってくるのを待ちましょう。」

本人にもご主人にもその状況を説明し、逆に少し眠ることを促しました。
結局、少し眠った後、朝6時に陣痛も強くなり、赤ちゃんの頭もいいカンジに下がってきて、最後は吸引分娩でしたが無事に生まれました。結局、子宮口が全開大してから半日近くたってしまいました。

生まれてみると、羊水に血液が多く混じっており、赤ちゃんの気道吸引をすると大量の血液を飲んでいました。
元気に泣いてはいたのですが、その血液の量がかなり多かったので、喉頭鏡をつかって丁寧に気道を確認しながら吸引し、念のために小児科の先生に診察してもらいました。

小児科の先生が到着するなり、
「こんな元気に泣いてるのに、喉頭展開する必要ないですよ!」

叱られました。
 「すいません・・・。」
・・・でも、赤ちゃんの口から吸引で出てきた血液はハンパな量じゃなかったのですよ。

で、その後、出勤してきた部下の産婦人科医にも、
「全開して12時間だなんて、夜中のうちに促進して、産ませてあげた方がよかったんじゃないですか?」
・・・また、叱られました。

ダブルで叱られたその日は、何となくブルーな気分でしたが、お産をした本人に、
「先生のおかげで最後まで頑張れました!」
と声をかけてもらい、救われました。

手を出すな、といわれたり、手を出すべきだった、といわれたり、くたびれたお産でしたが、
自然で安全なお産をじっと見守る、という、産婦人科医としてのボクのスタンスはブレてなかったと思います。

 「昨日、すっごい時間かかったけど、赤ちゃん、元気に生まれたんやでー。」
と、夕方、家に帰り、4歳の息子に愚痴?を聞いてもらってました。

「それって、男の子?女の子?」
 「男の子や。」
「ふーん。 ボク、女の子がよかったのにぃー。」
 「そんなんいうてもしゃーないやん。 おちんちんついとったんやから。」

家に帰っても、なんとなく「叱られた」ような気がしました。




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