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次男が帰ってきた [子育て]

長い長い不登校を乗り越え、
この3月、次男は無事に中学を卒業しました。
卒業式では、
一人ひとり、校長先生から卒業証書を手渡していただくのですが、
合計、1年ちょっとしか行ってないので申し訳ない気持ちとありがたい気持ちが入り混じった、複雑な気持ちで眺めていました。
式の最後に卒業生が、父兄に向かって合唱を聞かせてくれたのですが、
次男は、自分で志願した指揮者の大役を見事に果たしました。
卒業生の歌声は、思春期独特の若々しい音色で、
畳みかけるように、流れるように、美しかったです。
もちろん、この卒業生の中には、
ボクが出産時に担当した子供たちが、何人もいて、その子たちの歌声もあるかと思うと、
自然と涙がこぼれてきました。
(15年前も、お産の立ち合い、よく頑張ったな、と。)
そんな、ボクにとって宝物のような歌声を、
次男が、指揮者として一つにまとめてくれているのです。
親のボクだから許して欲しいのですが、
この卒業式で、次男が、申し訳ないけど、一番、カッコよかったと思いました。

そんな次男が、
自ら選んだ高校は、
北海道の男子校でした。
中学3年になって、いくつもの高校の入試説明会に参加しましたが、
彼が行きたいという高校がなかなか見つからず、
偏差値で選んでも、その高校の大学合格者数で選んでも、
食堂や自習室といった充実した設備でも、
次男が思い描くイメージと少しずつ違い、ぴったりくる高校が見つかりませんでした。
なんとなく、
ボクのクリニックからほど近い、
仏教系の男子校が、さしあたり第一志望となりました。

いろいろ情報を集める中で、
北海道の高校が目にとまりました。
ボクの高校の恩師に相談したときに話題に上がったことがあったからです。
名の通ったミッションスクールです。

 「とりあえず、説明だけでも聞いてみたら?」

次男は模試があったので、
奥さんがスケジュールを調整して、ひとりで参加しました。
「ここっ! すごくいいっ!」
説明会から帰ってきた奥さんが、大喜びでした。

「ほんまかぁ?」
と半信半疑の次男でしたが、
次の週の11月の連休を使って、
奥さんと二人で、実際に北海道まで見学に行きました。
(ちなみに、説明会は大阪でした。)
副校長先生が時間をとって面接もしてくださり、
校舎や寮のなかも丁寧に見学させてもらいました。

「お父さん、北海道、行かせてくれる?」
 「もちろん!」
「寂しくない?大丈夫?」
 「なんとか、頑張るわ。」

目標が見つかった次男のまっしぐらな姿は、
先だってのブログにも書いた通りでした。
無事に志望校に合格して、
結局、勉強を始めてから、たった11か月で合格してしまいました。

入学式の日は、ボクもクリニックを休診にして参加しました。
入学式の当日、雪が降っていて、しかも、前日には寮に入ってしまっていたので、
校門で家族写真は撮れませんでした。
すでに、前に向かって歩き始めているネクタイ姿の次男をみて、
 「しんどくなったら、また、休んでいいからな。」
心の中で思いながら、固い握手をして、北海道を後にしました。

京都に帰り、次の日から仕事をしていました。
昼の2時には電話があり、
「しんどい。帰りたい。」
と。
 「早っ!」
笑うしかありません。
数日に一回のペースで、夜になると電話がありました。
最初のうちは、足りないものを送ってほしい、と。
1週間して、半泣きの声で、
「自分がなぜ生まれてきて、どうして生きていかなければならないのかがわからくなった。」
と言い出す始末。
話し言葉に、標準語の占める割合が増えています。
 「仕方がない。」
次の週には、入ろうとしておるクラブの話、
そこにどうやら自分の居場所を見つけ始めた気配。
 「よし、よし。」
そして、次には、
「あと、1週間で帰れる。お鍋食べたいねん。」
 「オッケー!」

そして、昨日、次男は自分で飛行機に乗って帰ってきました。
寮での話、友人や先輩の話、先生の話、いろんなことを
空港まで迎えに行った奥さんに、
家に着くまで機関銃のように話しまくったそうです。
家で待っていたボクには、
2回も同じことを話すのはめんどくさいと話してくれませんでしたが、
「連休中に、服買いに行くの、付き合ってな。」
と、京都での休暇を有意義に過ごしたいようです。

たった4週間しか経っていないのに、
ずいぶん成長したように感じます。
今、彼を支えてくれている、先生や先輩、そして友達に感謝するばかりです。

 「健康で、笑顔でいてくれるだけで、十分。」

彼が、不登校であった長い長い時間、
そう自分に言い聞かせてきました。
ボクが笑顔でないと、彼が笑顔でいられなくなるからと、
自分がどうすれば、笑顔でいられるか、
自分への問いかけの日々でもありました。

子育ての難しさは、
その時点、その時点で、先の見えないことです。
産声を聞くまでは、不安だらけのお産のようです。
今更ながら、そう感じます。

令和という、新しい時代にかわり、
この連休がおわり、
彼をまた、北海道に向けて、送りだすとき、
きっと、また、
希望に満ちた、美しい笑顔を見せてくれるのでしょう。

感謝です。

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