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働き方改革は素晴らしい [産婦人科医]

気が付いたら、
最後にこのブログを更新してから半年が経過していました。
ゴールデンウィークは、いま取り組んでいるレーザー治療の研修として、
イタリアに行ってきました。
1週間ほどの日程の中で、
先駆者として数多くの論文を発表し、実際に日本でもレクチャーを受けたこともある先生の、貴重な勉強会や、実際にレーザーを組み立てている工場見学など盛りだくさんでした。
合間に、レオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」やウフィツィ美術館を見て回り、
ヴェネチアでゴンドラにも乗り、
研修以外にも有意義な旅となりました。
20年ぶりに訪れたイタリアは、何もかもまったく変わっていませんでした。

また、その1週間後に日本産科婦人科学会が仙台であり、
最近取り組んでいる、同じ診療内容で、ランチョンセミナーをさせてもらいました。

移動距離はざっと、12,000キロくらいでしょうか?
さすがにくたびれました。

周産期医療の最前線で、頑張っていたころには考えられないことです。
産婦人科医不足で、ぼくが「頑張っていた」ころは、
ぼくは、1年のうち、6日間しか京都市から出ることができなかったことがあります。
そして、京都市の、丸太町通より南に行くことも、年に2、3回でした。
たまに、京都駅周辺に会議で出かけるときは、うれしくて、「お土産」に?、
ソフマップでパソコンを買ったりしました。
また、5年に一度の専門医の更新に必要な、学会のポイントがギリギリ足りなくて、
慌てて、近場の研究会に出席しまくったのを覚えています。

医会の理事になり、
そういう仕事が増えてくると、
大学の知り合いの先生が、「珍しいですね、病院、今日は落ち着いてるんですか?」
などと、よく声をかけてくれました。

あの頃のボクは、
常に患者さんに張り付いて、どんな時も、最短の時間で駆けつけることで、
お母さんや小さな命をずっと守り続けていました。

でも、ああいう診療体制は、もうやってはいけません。
「働き方改革」
素晴らしい言葉です。

働き方改革に必要なものは、
第一に、チームの存在でしょう。
そして、
そのチームには、クオリティの均一化が必要です。
ドクターによって、診療スタイルが変化することはあっても、
診療のクオリティがばらついてはいけないのです。
そのために、
教育や研修、ガイドラインの充実が必要となります。
どんなときも、患者さんにとって、均一でハイレベルな医療が提供されるべきなのです。

10年ほど前にボクがやっていた診療スタイルは、
今の、働き方の感覚でいうと、
完全に「アウト」でしょう。

結果、
たくさんの、大切な小さな命やお母さんを助けることができましたが、
一方で、
大切な家族がしんどくなりました。

あと、10年早く、
働き方改革が始まっていたら、
どうなっていたんだろう?

幸いにも、
しんどくなっていた次男は、
なんとか元気を出して、
数か月前から学校に通い始めてくれています。
今のところ、
遅れていた勉強を取り戻すために、
へこたれずに頑張っています。

「頑張りすぎるなよ。」

イタリアにも、仙台にも、
たくさんの問題集や宿題(と、少しの漫画)をリュックに詰めて、
ニコニコとボクの旅行に付き合ってくれた次男は、
この5月だけでも、ひと回りも、ふた回りも、成長したように思います。
何度も、彼の笑顔を見ることができて、本当によかったです。

頑張りすぎず、頑張っちゃえる生き方、
そういう余裕のある状態でなければ、
笑顔が生まれてきません。

これからも、たくさんの笑顔に出会えるように、
まだまだ前に向かって、進んでいきたいです。


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けいこ

先生、お元気そうで良かった。イタリアに仙台にだなんて、素晴らしい。隣に次男くんがご一緒だったなら、素敵な旅だったでしょう。次の更新を楽しみしています。
by けいこ (2018-06-04 21:01) 

haru

けいこさん、コメントありがとうございます。
ボクは、おかげさまで元気にしております。
次男も、日々成長してくれて、笑顔を見せてくれています。
なによりも感謝です。
by haru (2018-06-23 14:37) 

なつ

以前こちらに書き込みをさせていただいたものです。
約三年前に生まれた息子は、元気です。
こちらは、産婦人科医のブログなので、書き込みしていいか迷ったのですが、
生まれた息子は、複数の食物アレルギーを抱えていました。
生まれてからずっと肌荒れがひどくて、(省略)結局五ヶ月ごろ小児科医が血液検査、食物アレルギーですと。(離乳食もはじめていないのに?)五種類位ありました。
重かったのは大豆で、あとはそんなに重くはないとか…
食物アレルギーの専門医をご紹介します。と。主人がある魚介類の食物アレルギーをもつ人間でしたから、
食物アレルギーは遺伝したのだなぁと…
他、一歳そして二歳と進むにつれて、言葉の出が遅いとか、あれ?と思われるような行動がいくつか出てきました。
(なぜそう思ったのか、など、色々書きたいのですが省略)

結局、小児科医(前述のアレルギー専門医)に言葉の出が遅い、など相談したところ、○○○(私の住んでいる地域にある発達支援センター→詳しい人にいわせれば、病院)をご紹介します。
と言われました。今何ヵ月も診察予約をとるのを待って、
ようやく春に○○○の診察がうけられて、
自閉症スペクトラムの診断基準を満たしています。と言われたところです。普通は三歳以上でつける、診断名なんだとかそういう話でした。
上に私にはもう一人子供がいて、食物のアレルギーもなかったし、
発達とか自閉症スペクトラムなどという診断もうけることはありませんでした。

正直、私は○○○という施設の存在すら知りませんでした。

どちらにせよ、息子を産んだ病院とは違うところに、二ヶ所も通うことになり、
色々落ち込んでいます。

私は酷い生理痛で17才位から苦しんでいたのですが
器質性?機能性?とかで筋腫も、内膜症もない生理痛だとかで20代のころからわかっていたのですが、諸事情から定期的に産婦人科に通うことをしていませんでした。一年に一回位は産婦人科医にいくなどし痛み止めを貰い服用していました。市販の痛み止めも使いました。
そこには長い私なりの友達など非医療系の人から言われた言葉、複数の、産婦人科医や看護師、保健師などから冷たくあしらわれたなどの悔しい経験と、私なりの偏見と無知が重なったからなのですが書ききれません。
息子を妊娠する二年前位からある、開業医(娘を産んだ病院)で、息子を産んでからは息子を産んだ、総合病院で三ヶ月おきくらいに行って痛み止め(ボルタレン→アセトアミノフェン)を貰っていたのですが、息子が食物アレルギーで診てもらっている病院にある産婦人科に変わることにしました。
息子のことがなければ子宮をとろうかなとか、リングでもいれようかななどまで思い詰めたこともありました。多分子宮は健康で、痛みもそんなに深刻すぎないので?ので摘出は検討も、してもらえないと思いますが…
by なつ (2018-06-24 09:34) 

haru

なつさん、コメントありがとうございます。
自閉症スペクトラムという言葉自体が、最近は変化してきており、病気ではなく、個性であるという考えから、「症」という言葉を使わず、自閉スペクトラムなどと呼ぶようになりつつあるそうです。なによりも、偏見をなくして、個性を尊重し、みんな一人ひとりが暮らしやすい環境になるようにしていく必要があるのだと思っています。
かといって、不安だらけの毎日でしょう。
まずは、「健康で、毎日、笑顔でいてくれたら、そのことに感謝」という思いで、見守っていくことが大切なんだと思います。
月経困難については、そのことで自分の生活にどれほど影響を与えているか?ということが治療の動機になりますが、抱えている問題が大きいなどあれば、治療のタイミングは早すぎることはないと思います。残念ですが、真面目に月経困難について考えている産婦人科医はそれほど多くありません。
病院が変わって、新しい先生に出会うことも、大切なチャンスなのかもしれません。
by haru (2018-08-11 11:42) 

なつ

先生、お返事ありがとうございます。
不安だらけです。
〉「健康で、毎日、笑顔でいてくれたら、そのことに感謝」
中々、息子に対しては自分が、その心境でいることを自覚できない日々です。
月経困難に関しては、とても生活に支障がてでいる状態でした。
大学なんかは月に、二日ほど休んでました。約20年前です。文系で出席がルーズだったのでまだましだったかもしれませんが
相談するという頭もありませんでした。(詳細は昔すぎるので書きません)産婦人科医に一度行ったし、薬局で薬剤師さんから
市販の痛み止めを購入したりしました。
以降も色々ありかなり支障は出ていると思います。書ききれません。
36才あたりからある出来事をきっかけに産婦人科医に積極的に行き痛み止めを貰い痛みを抑えるようにつとめるようになりました。

他、婦人科の漢方薬といわれるケイシブクリョウガン?を頂いて服用して一年位になります。それなりに、効果があるのではと感じています。なかなかここまでたどり着くまで
道に迷ってばかりの婦人科受診?人生でした。
今は痛みと、不調をそれなりにコントロールできているのではと
感じています。

by なつ (2018-09-01 09:06) 

haru

なつさん、再びコメントありがとうございます。
自分がニコニコしていることの、本当の大切さを知るまでに、ボクは数多くのことを失っていたと感じています。
急ぐことはありませんが、我慢することもないと思います。。
早く、自分のことを正面から受けてめてくれる、もっといい主治医に巡り合うことができますように!
by haru (2018-09-24 11:27) 

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