白衣の意味 [産婦人科医]
うちの病院は、研修指定病院です。
2年間の初期研修中のドクターが一人ずつですが、
1ヶ月交代で産婦人科にローテーションでやってきます。
産婦人科に来る研修医は、ほとんどが2年目の研修医で、
そこそこの仕事ができます。
産婦人科に研修に来るころには、
内科や外科など、
みな自分が将来、何を専門にするかが決まっています。
逆に、2年目にまだ、自分の専門が決まっていないことの方が珍しいということです。
それでも、若い研修医の先生たちが、
てきぱき働く姿を見て、
「〇〇先生、完璧ですね。産婦人科に入らないともったいないですよ。」
などと、あからさまに勧誘するのです。
研修の先生たちも、
自分の夢や希望をもって、将来の進路を決めているわけだし、
いまさら、ちょっと褒められたり、煽てられたりして、
急に産婦人科医になるとは思えません。
ほかの診療科の医師になるとしても、
産婦人科の特殊性を理解してもらうことの方が大切だと思います。
そんな中で、
つい先日も、一人の研修医が産婦人科の研修にきました。
一見して、おとなしい印象の研修医でした。
彼は、白の上下(つまり、白衣ですね)に
白のスニーカーで、清潔感を感じました。
当たり前のように思うのですが、
最近の若い先生は、
あまり白衣を着ません。
スクラブ、といういわゆる手術着が多いのです。
スクラブは、多くが自前なので、紺色だったり、黒だったり、
中には、ピンクやオレンジを着ている人もいます。
機能的でもあるので、
うちの病院でも、
支給される白衣の中に、このスクラブを選択できるようにする動きもあります。
そして、その上に、長い白衣(コート、といいます)を羽織っていることもあります。
でも、前のボタンは絶対かけません。
ボタンをかけると、かっこ悪いからです。
ボクは、
上下白い診察着をきている、この先生に、
すがすがしさを感じる一方で、
若いのに、どうして、みんなみたいに、
スクラブを着ないのか、異和感も感じました。
「先生は、なんでスクラブじゃなくて、白衣なんですか?」
って、ストレートに聞いてみました。
すると、にっこり笑いながら、
「まだ勉強中ですから。」
いろいろ、勉強させていただいている身ですから、
患者さんに対しての礼儀なんです、と彼は続けました。
若いのに、立派な気持ちだと感銘を受けました。
彼は、研修医であり、しっかり勉強することは当然として、
患者さんに、勉強させていただいているという感謝と謙虚さを持っています。
そして、その気持ちを上下の白衣で礼儀を現わしています。
かれは、きっと立派な医師として、
医療者からも、患者さんからも、信頼され、尊敬されるでしょう。
ちなみに、かつて、
一生ついて行こうと、ボクが敬愛している、小児科のS先生の話を
このブログで書いたことがあります。
この先生も、常に上下の白衣でした。
なにかのときに、スピーチをされていたことを思い出しました。
S先生は、四国の出身で、
小さいときから、四国八十八カ所を巡る、お遍路さんを身近にみて育ちました。
お遍路さんは、白い服を着て、歩き続けます。
その巡礼をする姿と、医療の道を究めようと、修行を重ねる自分の姿を重ね合わせて、
自分が白衣を着ていることの意味を教えてくれたことがあります。
医師が、白衣を着る意味は、
それぞれかも知れません。
ただ、ボクは、
この若い先生が、この先も、
きっと、どんなに経験を積んでも、偉くなって、多くの後輩を指導する立場になったとしても、
きっと、白衣を着続けていると信じています。
2年間の初期研修中のドクターが一人ずつですが、
1ヶ月交代で産婦人科にローテーションでやってきます。
産婦人科に来る研修医は、ほとんどが2年目の研修医で、
そこそこの仕事ができます。
産婦人科に研修に来るころには、
内科や外科など、
みな自分が将来、何を専門にするかが決まっています。
逆に、2年目にまだ、自分の専門が決まっていないことの方が珍しいということです。
それでも、若い研修医の先生たちが、
てきぱき働く姿を見て、
「〇〇先生、完璧ですね。産婦人科に入らないともったいないですよ。」
などと、あからさまに勧誘するのです。
研修の先生たちも、
自分の夢や希望をもって、将来の進路を決めているわけだし、
いまさら、ちょっと褒められたり、煽てられたりして、
急に産婦人科医になるとは思えません。
ほかの診療科の医師になるとしても、
産婦人科の特殊性を理解してもらうことの方が大切だと思います。
そんな中で、
つい先日も、一人の研修医が産婦人科の研修にきました。
一見して、おとなしい印象の研修医でした。
彼は、白の上下(つまり、白衣ですね)に
白のスニーカーで、清潔感を感じました。
当たり前のように思うのですが、
最近の若い先生は、
あまり白衣を着ません。
スクラブ、といういわゆる手術着が多いのです。
スクラブは、多くが自前なので、紺色だったり、黒だったり、
中には、ピンクやオレンジを着ている人もいます。
機能的でもあるので、
うちの病院でも、
支給される白衣の中に、このスクラブを選択できるようにする動きもあります。
そして、その上に、長い白衣(コート、といいます)を羽織っていることもあります。
でも、前のボタンは絶対かけません。
ボタンをかけると、かっこ悪いからです。
ボクは、
上下白い診察着をきている、この先生に、
すがすがしさを感じる一方で、
若いのに、どうして、みんなみたいに、
スクラブを着ないのか、異和感も感じました。
「先生は、なんでスクラブじゃなくて、白衣なんですか?」
って、ストレートに聞いてみました。
すると、にっこり笑いながら、
「まだ勉強中ですから。」
いろいろ、勉強させていただいている身ですから、
患者さんに対しての礼儀なんです、と彼は続けました。
若いのに、立派な気持ちだと感銘を受けました。
彼は、研修医であり、しっかり勉強することは当然として、
患者さんに、勉強させていただいているという感謝と謙虚さを持っています。
そして、その気持ちを上下の白衣で礼儀を現わしています。
かれは、きっと立派な医師として、
医療者からも、患者さんからも、信頼され、尊敬されるでしょう。
ちなみに、かつて、
一生ついて行こうと、ボクが敬愛している、小児科のS先生の話を
このブログで書いたことがあります。
この先生も、常に上下の白衣でした。
なにかのときに、スピーチをされていたことを思い出しました。
S先生は、四国の出身で、
小さいときから、四国八十八カ所を巡る、お遍路さんを身近にみて育ちました。
お遍路さんは、白い服を着て、歩き続けます。
その巡礼をする姿と、医療の道を究めようと、修行を重ねる自分の姿を重ね合わせて、
自分が白衣を着ていることの意味を教えてくれたことがあります。
医師が、白衣を着る意味は、
それぞれかも知れません。
ただ、ボクは、
この若い先生が、この先も、
きっと、どんなに経験を積んでも、偉くなって、多くの後輩を指導する立場になったとしても、
きっと、白衣を着続けていると信じています。
先生の文章大好きです!
私の知っている医師は愛想もなく、話辛く、お堅いイメージで…
先生のブログは医師が身近に感じられます(^_^)
私は第二子を3年前に死産し、その後不妊症が判明。
体外受精でしか妊娠は難しいとの事でした。(精子欠乏症)
顕微受精に一度挑戦し、陰性に終わりました。
死産の記憶が強烈過ぎて…乗り越えるには次を産まないとダメだと、ムキになっていたように思います。
今になってようやく、一呼吸つけたかな、と思います。
自分の話になってしまいましたが…ブログの更新楽しみにしております。
お体ご自愛ください。
by のん (2015-08-12 20:08)
以前もコメントさせて頂いたkoharuです!
最近先生のブログを毎晩読むのが日課になっています(笑)
研修医の方が白衣を着ている姿勢がとても素敵ですね。
私自身も最近ドクターズファイルという病院探しのサイトも見ているんですが
そこには先生方の記事もありは、こういう想いを持ちながらお仕事をされているんだなと思うと頭が上がりません。
若い研修医の方もきっと立派に医療の世界で貢献されると思います。
それにしても先生の文章は現場のリアルな感じが想像できるのでとても面白いです☆
産婦人科医を引退されたら小説家になってくださいね(笑)
一応サイトのアドレスを載せておきます。先生の病院もいつか載ることを祈って…☆
http://doctorsfile.jp
by koharu (2015-08-22 13:45)
はじめまして。
ブログを読ませていただきました。
第二子妊娠中で、39歳、ちなみに第一子出産は
八年前の31歳の時でした。
31歳の時のお産は、経過もほぼ順調で安産でした。(しかしその時の個人経営の開業医A院は高齢の為か、お産を辞められてしまいました。)
今回、
また別の個人経営の開業医B院のもとでの妊娠でしたが、6ヶ月あたりで、前回も体型が同じ位太めでしたが、BMI35超と、血圧が高めなどから高リスクと判断されました。
(体重は、前回の妊娠中もそうでしたが
今回も、殆ど増加はありません。)
転院先は、指定もありませんでしたが
自分の年齢から、居住地域の3次救急指定の総合病院C院にしました。産婦人科もあり、NICUもある病院です。
中部地方、某所、とだけ…
28週で高位破水と切迫早産と診断され
一ヶ月半ほど、そのC院にて入院しておりました。…
様々な体験をしました。勉強になりました。
本当なら、詳しい状況を書くべきかと
思うのですが、…省かせていただきます。
現実で、周囲の皆さんと充分に相談し話し合って進めてきたことなので…
しかし、当初から高位破水自体が少量だ、とか
で、羊膜にダメージが少なかったのか
34週…過ぎても出血も陣痛も来ませんでした。
血圧も安定、…ほかにリスクらしいリスクもなく、
一旦退院、現在、10か月にてお産待ち状態です。
色々、入院中、入院後、凹むことがあり、悩むこともあり
お産関連のニュースや記事を検索しており、
このブログにたどり着きました。
…そうか、産婦人科医(や助産師、助産院、看護師…その周辺の人々や、様々な事情をかかえた患者さんなど)
というのは、こういう風に考えておられるのだなと考えさせられました。
一つ例を挙げるならば、
入院中の思わぬトラブル、私は全く無関係で無実で巻き込まれたクチなんですが
こちらのさる時期のブログの記事が大変似たような状況があったため、…その記事に慰められました。
ありがとうございました。
by なつ (2015-09-12 00:02)
のんさん、コメントありがとうございます。
悲しいお産があると、自分で自分を責めたり、誰かのせいにしたり、
いろんな思いがあったと思います。
周囲の人たちの、一見思いやりとも思える言葉が、とても辛かったのではないでしょうか。
それ解決する一つの答えが、時に、もう一人、赤ちゃんを産む、ということだったのでしょう。
しかし、新しい赤ちゃんは、亡くした赤ちゃんの代わりではありません。
どちらの赤ちゃんも、大切な自分の子どもなのです。
もちろん、そのことに、すでにお気づきになっていると思います。
「今になってようやく、一呼吸つけたかな、と思います。」
という言葉は、そういう意味だと考えます。
by haru (2015-09-24 21:55)
koharuさん、コメントありがとうございます。
ボクがここでいろいろと書き綴るのは、伝えたい、伝えなければならないことがあるからです。
現実に経験したことを通してえるスタイルであるために、ボクは自分の身分を明かすことはできません。
小説家になることもないと思います。
by haru (2015-09-24 22:01)
なつさん、コメントありがとうございます。
ボクがここで綴る思いは、決して、すべての産婦人科医の共通の思いではありません。
ボク自身が、「なぜ君たちはそういう考えを持ち、、そんな言葉を吐くのか?」という、一部の産婦人科医への疑問を持ち始めたことが、このブログを始めたきっかけなのです。
だからこそ、ここで想いを伝えたい、一番の相手は、産婦人科医や研修医、そして医学生たちなのです。
もちろん、共感してくれている産婦人科医や助産師もたくさんいますが、そういう意味では、ボクの意見は、少数派である可能性もあります。
by haru (2015-09-24 22:22)
こんにちは。
白衣の意味、素敵ですね。患者さんにも、きっと思いが伝わると思います。
最近、月経痛と合わせて、月経後半から排卵後しばらく腹痛腰痛があります。…1ヶ月痛いかもしれません。チョコレート嚢腫なので、定期受診、MRIもして、とりあえず、安心していたのですが、やはり、痛みがあるし、セカンドオピニオンで、卵巣が大きくなってるし、ホルモン療法を勧められました。
2人目を希望していたのでショックでしたが、年齢的にも、妊娠は厳しくなり、癌化を防がなければならないので、とりあえず、1年間は治療してみることにしました。
でも、まだ諦めきれずにいるので、悲しくて。
娘が小学校へ行きます。発達障がいですが、元気にいてくれることに感謝しながら、副作用が心配で不安ですが、良くなることを信じて、頑張りたいです。
痛みは辛いです。鎮痛剤も飲んでしまいます。
by まなみんまま。 (2015-09-29 09:22)
まなみんまま。さん、コメントありがとうございます。
子宮内膜症は妊娠が一番の治療と言われていますが、それ自体が不妊の原因、という辛いところですね。
診察していないので、何もアドバイスできませんが。
娘さんも、まずは身体が健康であることに感謝しながらですね。
月経痛なんかに負けず、娘さんのために、
いつも笑顔でいるために、薬物療法がうまくいきますように。
by haru (2015-10-15 18:20)
haru先生
お返事ありがとうございます
報告が遅れましたが、
赤ちゃんは無事に、9月某日産まれました。
下からのお産でした。
妊娠40週直前でした。
今、子育てに奮闘中です。
by なつ (2015-11-12 00:03)