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穏やかな当直 [産婦人科医]

すこしばかり過ぎてしまいましたが、
新年明けましておめでとうございます。

このブログのプロバイダーであるso-netでは、
定期的にセキュリティIDやパスワードを変更する必要があるそうで
変更を勧めるメールを無視していたらロックがかかってしまいました。
それで、年末年始の更新ができませんでした。

かといって、どうしても皆さんに伝えなくてはならない大事件もなく、
淡々と忙しい毎日を送っておりました。

クリスマスには、今年もボクにはサンタさんは来ませんでしたが、
お正月にはしっかりとお休みを頂き、実家でニコニコと過ごすことができました。
ありがとうございました。

先日の当直のときのことです。

かつて、うちのある先生が、当直明けの朝に、
「昨日の当直は『完封勝利』でした!」
とうれしそうに言ってました。
大きな急変や、出産もなく、ヒマな当直であったことをいっているのです。
 「うまいこというなぁ。」
お産や救急搬送が多いうちの病院では、
いわゆる、「なんにもなかった」当直は珍しいのです。
お産や緊急帝王切開はもちろんのこと、
婦人科癌で入院中の患者さんの急変もしばしばです。

とくに、この年末あたりから、ボクが当直の時は大賑わいで、
麻酔科の若い女性のドクターが病院の当直医のミーティングでボクの姿を見ると、
「先生、今日、当直ですか? 覚悟しておきますっ!」
というくらいでした。

ところが、ついにやってしまいました。

その日は日曜日で、当直勤務は24時間でした。
朝に、不正出血の患者さんの外来受診が1名きて診察、
夕食後に子宮外妊娠の患者さんが腹痛を訴えたので診察をして、
大丈夫ですよ、って説明しました。
あとは、全く、なぁんにもありませんでした。

言ってみれば、
ノーヒット・ノーランってとこでしょうか。
(ちなみに、ヒットはあるけど9回で0点に抑えると「完封勝利」、フォアボールくらいあってもヒットがなければ「ノーヒット・ノーラン」。それもなければ、「完全試合」となります。)

 「こんな穏やかな当直で申し訳ない。ノーヒット・ノーラン。」

ニコニコして、次の朝、出勤してくる先生たちに詰所で順番に自慢をしてしまいました。

「いえいえ、先生、その昨日の当直の前日にきっちり呼び出されてたじゃないですか?」
と、ツッコミをいれてもらいました。
 「そうやった。忘れてた。」

また、別の先生からは、
「こないだの僕の当直の時は、緊急カイザー(帝王切開)に、救急搬送に、普通のお産に、ボコボコでしたよ。」
 「そうやったなぁ。 ごめんなぁ。わはは。」

自分の当直が、たった1回でも穏やかに過ごせたら、
ついうれしくなり、テンションも上がったのですが、
べつに病院のトータルの仕事量が減るわけでもないし、
少し大人げなかったかな、と反省しました。

大切なのは、スタッフそれぞれが疲れ切ってしまわないように、
最高のパフォーマンスで、うまくチームワークでこなしていくことでしょう。

ただ、他のみんなが休んでいる日曜日の当直で、大きな急変がなく、
待機している当直医も呼び出さずにすんだことはよかったと思います。

少し眠れた分、次の日の勤務も、余分に頑張ることができるのです。
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うにこ

はじめまして(^O^)いつもブログ見ています。最近更新がなかったので終わってしまったのかと思っていました。終わってなくて良かったです。
5年前に死産を経験しましたが、ハルさんのブログに色々と考えさせられています。死産は辛いことだったけど、家族やお医者様たちのありがたさが身にしみました。無駄な経験ではなかったと思います(^-^)今に感謝ですね。このブログ大好きです。
by うにこ (2013-01-22 03:01) 

nana

こんにちは!

私もharu先生のブログ、大好きです。
日常の生活のなかでは意識しない、「産まれてきたことへの感謝」を再認識するから・・・。

当直や、外来、病棟とお忙しい毎日とは思いますが、そのご多忙の合間にUpされるブログ、いつも興味深く拝読しています。
by nana (2013-01-22 09:16) 

ちばおハム

あけましておめでとうございます!
そうそう、私も危うくこのロックに会いそうでしたよ。
ぎりぎりでパスワード変更をして無事でした。

穏やかな年末年始だったようでよかったです。
私もよく今日の当直を確認していたのを思い出しました(笑)
今年もよろしくお願いします。
by ちばおハム (2013-01-24 06:00) 

haru

うににさん、コメントありがとうございます。
このブログは、一昨年の職場が変わったときに一度はやめようかと思いました。
ただ、まだまだ伝えきれないことが多いので、自分のペースを保ちながら続けていきたいです。
なるべく1ヶ月1回は更新できるよう心がけてはいます。
どんな命も、そこには計り知れない深い意味があります。
命の現場から、ボクが伝えることができるのはほんの一部分かも知れませんが。
by haru (2013-01-28 10:47) 

haru

nanaさん、コメントありがとうございます。
産まれてきたことへの感謝、多少ポンコツになってきましたが、自分がこうして生きていることへの感謝。
命について考えるとき、同時に、自分がどれほどたくさん感謝しなければならいかと思います。
命の本当の意味は、一生かかってもわからないかも知れません。
でも、命の大切さを、想い続けたいです。
by haru (2013-01-28 10:55) 

haru

ちばおハムさん、コメントありがとうございます。
今年もよろしお願いします。
ドクターとして当直の時、夜勤の助産師さんをチェックします。
夜はたくさんコールがありそうなひとっているんですね。
助産師さんたちも同じでしょうね。
ただ、助産師さんから、「夜中に声をかけにくい」、「相談しにくい」ドクターだけにはならないように努力したいと思います。
それで勝ち得た、ノーヒット・ノーランには全く意味がないですね。
by haru (2013-01-28 11:01) 

まなみんまま

あけまして、おめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。

『うまれる』と言う映画を見ました。
娘は、発達の遅れがありますが、元気なのでありがたいです。

妊娠できること、無事に産まれること…当たり前じゃなく、とてもありがたいことなんだと思いました。そして、産婦人科医の大変さ、素晴らしさも感じました。haru先生、応援しています。頑張って下さいね。

私も、お空から見ている、未来の我が子に、選んで貰えるように、優しい元気な、ママで頑張りたいたいです。
by まなみんまま (2013-01-28 21:58) 

みう

お久しぶりです。
haru先生、お元気そうで何よりです!

先生にお世話になった次女も来月には1歳半になります。
二語文らしきものを話すようになり、可愛くて毎日スリスリしては顔をそむけられる毎日です。
おっぱいはまだまだ離れませんが、だんだんと赤ちゃんが抜けていくのが寂しく感じる今日この頃です。
つい、もう一人!?と思ってしまいますが、私はノーヒットノーランを阻止する強打者タイプなので(笑)二人で十分、と自分を諫めています。

赤ちゃんってほんとに可愛い!
しみじみそう感じたのは少し子育てに余裕ができた二人目からです。
だから三人目とかすごく可愛いんやろなーって。
イヤイヤ、いけない、いけない(笑)やっぱりこれからは友達やまだ見ぬ姉の子に癒されます!

先生、これからもたくさんの可愛い赤ちゃん宜しくお願いします(^-^)

by みう (2013-01-28 23:14) 

haru

まなみんままさん、コメントありがとうございます。
「うまれる」という映画、
ボクもなんとかして観たいと思いました。
産まれてきたことの意味を、できるだけ多くの人と感じ、考えたいと思います。
by haru (2013-02-01 12:34) 

haru

みうさん、コメントありがとうございます。
最近、3人目(三男)を産んだ助産師さんが1ヶ月健診で受診したときに、聞いてみました。
「やっぱり、3人目はかわいい?」って。
そしたら、首をかしげてこう言いました。
「全員かわいいから、3人目やからって特別な感じはないですね~。」
「ただ、お兄ちゃんたちがすっごく喜んでくれたから産んでよかったかなって思います。」
貫禄の言葉だと思いました。
by haru (2013-02-01 12:51) 

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