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看護学生に捧げる言葉 [産婦人科医]

春から15回にわたって、うちの病院に付属した看護学校の授業がやっと終わりました。
外来がずれ込んだりして時間通りに始まらなかったことが何回もありましたが、
「やっと」終わりました。

ボクの授業を居眠りすることもなく聞いてくれた学生さん、
お疲れさまでした。
今年のクラスはなかなか元気がよくて、質問もいい感じで出てくるし、
授業をしていても楽しかったです。

ボクは、授業の最後にこんな話をしました。

「国家試験に向かって勉強することはもちろんのこと、
医療者である限り、寝る時間も惜しんで勉強しなあかん。
数年前に、すごく笑顔が素敵な看護学生がいた。
でも、この学生さんは、残念ながら成績がそれほどよくなかった。
実習のときも指導している助産師さんたちがため息つくくらい。
それでボクはこんな話をした。
 『君は笑顔がいいね。』
『ありがとうございます』
 『だったら、もっともっと勉強しないともったいない。』
『はあ』
 『いっぱい勉強したときに君の笑顔は、自信に満ちあふれて、きっとたくさんの患者さんを癒すことになると思う。でも、勉強しなければ、自信のなさを隠すごまかしになってしまう。それはもったいないとボクは思う。』

結局、彼女は無事に学校を卒業したけれど、国家試験には合格しなかった。
そして、しばらくして何年か経った時、
うちの病院で働く、彼女の看護学校の同期であるナースがボクに話しかけてきた。

『先生、看護学生だった○○さん、覚えていますか?』
 『うん、覚えているけど。』
『彼女、今、実家の近くの病院でナースとして働いているんです。先生にそのことを伝えて欲しいって伝言頼まれました。先生が学生のときに話してくれたことを励みに頑張ったって言ってました。』

君たちが医療者として、たくさんの患者さんを癒すときに、
最高の笑顔で働いてほしいと思う。」

偉そうに、カッコ良く授業を終えて、
ちょっと気分が良かったです。

こんなにええカッコしたからには、
ボクも勉強頑張ります。





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コメント 4

さくら

はじめまして。
いつも拝見させていただいてました。
先生の言葉が、胸に響いたのと同時に、思い出した事が
ありました。
私も看護学生の頃、学校の先生に
「あなたはニコニコしてるけど、笑ってごまかしてるだけ!」
と言われたことがあります。
意味合いは違いますが、わからない時、自信がない時に
笑ってしまう自分に気付いた事、思い出しました。
人の命に関わる仕事をしている以上、、まずは知識を得ることの
大切さを、現場を離れ、さらに自ら子供を持ってからは
それまで以上に感じています。
また看護師として働ける日が来たら、必死で勉強しようと
思います!
笑顔は…自分で言うのもなんですが、学生の時と変わらず
得意かもしれません^^;

by さくら (2011-07-22 23:32) 

ちばおハム

あー、haruさんはほんとにすばらしい先生ですね。
私も短大の時にこんな先生に出会いたかったなあ。
人との出会いって大切ですね。
私は看護婦として自信が持てぬまま、5年でリタイアしてしまいました・・・
でも別の出会いがありましたよ。短大時代の保育実習で(看護学校にも保育実習があります)保育の仕事に魅せられてそのまま保母になって現在に至っています。
勉強が大切ってよくわかります。20年近くたっても日々勉強が必要です。
by ちばおハム (2011-07-23 14:35) 

haru

さくらさん、コメントありがとうございます。
学生のときなど、後から振り返れば、それが自分の人生に大きく影響した、「他人からのひとこと」ってあると思います。
今しか伝えられない「熱い思い」を伝えたいと思いました。
笑顔は、言葉が要らないストレートなメッセージであるだけに、ごまかしも意外と効かないものだと感じます。
by haru (2011-07-30 08:29) 

haru

ちばおハムさん、コメントありがとうございます。
ボクは、根がマジメで、ちょっとエエカッコしいなだけです。
でも、きらきらと目を輝かせている彼ら(今年は男子学生もいます)を見ていると、美しくて力強い言葉で励ましたくなるものですね。
再来年には、「同僚」になってほしいです。
by haru (2011-07-30 08:33) 

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