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B群溶連菌について

妊娠中には膣内の細菌培養検査をします。
このB群溶連菌(GBS)は産道感染(垂直感染ともいいます)で新生児に感染すると頻度は高くないですが、かなり深刻な感染症を引きおこします。(その細菌感染の詳細についてはネットで検索してみてください。ボクがYahooでみたら19000件くらいヒットしました。)
妊娠中、うちの病院では2回検査しますし、未検査の患者さんが救急で入院して検査結果が出るまでに分娩になるそうなときはとにかく抗生物質を投与します。
発症したら怖い感染症のひとつです。
もし、検出されると分娩時に抗生物質を点滴しないといけないし、生まれてから慎重に小児科医が診察して必要なら迅速に対応・治療します。

先日、ある助産院で分娩予定の妊婦さんがうちの病院でこの膣分泌物培養検査をうけ、このGBSが検出されました。
この助産院ではGBSが検出されると、点滴だけではなくて小児科医の迅速な対応などの理由で助産院では取り扱わずに、うちの病院のような医療機関での分娩を勧められます。
この方は一人のお産も助産院であったし、今回の妊娠も食事や体重管理など十分に気をつけて順調に経過していました。

検査結果をお話したとき、ショックは隠しきれないようでした。

「点滴は赤ちゃんに大丈夫ですか?」
「生まれてから何日くらい注意しないといけませんか?」
「私が何か悪いことしたのでしょうか?」
「上の子には影響はありませんか?」
・・・などなど、次々と質問が飛び出します。

そして、なによりも、自分がこれまでにイメージして積み重ねてきたお産と、これから始まるお産とがあまりにもかけ離れてしまうかもしれない、という不安があると思います。

ひとつひとつの質問に答えながらも、次回の妊婦健診にはご主人にも来ていただき、もう一度説明の時間を十分に持ってお話しました。

ご主人は、「子供の安全を第一に考えたいです。あとは、何とかなると思います。お願いします。」
うつむいたままの妊婦さんでしたが、その言葉のあと、じっとご夫婦で見詰め合っておられました。
このほんの数秒の間に、ご夫婦にはたくさんの会話がなされたような気がしました。
そして、妊婦さんもやっと決心されたようでした。

元気な赤ちゃんが生まれたら、きっとそれもいい思い出になってくれるはず。

ボクも頑張ります。
誰にも負けない、すばらしいお産をしましょう!


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コメント 5

10月に初めての出産予定の妊婦です。産婦人科の先生の話なんて聞ける機会はないので、いつも興味深く読ませてもらってます。

妊娠中の体や、出産、産まれてくる赤ちゃんについては、心配するとキリがないので、いろんなことに対して神経質にならないようにしてます。今は赤ちゃんに会えるのが楽しみで仕方ありません。それを考えると不安なんて吹っ飛ぶんですよね…。

妊娠中や出産時に何かあった場合、素人の私にはDrや助産師さんの言うことが全てなんですよね。自分のかかってる病院では、haru先生のようにきちんと説明してもらえるのかな…。何事もなく生まれてきてくれるのが一番ですけど…。
by (2007-08-08 16:04) 

haru

うきこ@PHさん、コメントありがとうございます。
妊娠中のしんどさの8割は不安だと考えています。その不安を少しでも少なくすることで妊娠は少しずつ気分的にもラクになるはずだと思います。
それにもまして、生まれてくる赤ちゃんとの出会いが楽しみであり、それがあるからこそ乗り切れるのだと思います。
不安なままお産に望んでも、つらいだけだと思います。
ボクは、時にはご主人も巻き込んで、根気強くお付き合いさせていただきます。
by haru (2007-08-08 21:40) 

溶連菌のことは産まれてからの病気と思っていましたが、新生児に感染することもあるんですね。そして、このことが調べられているというのは知りませんでした。一人目のときはどうだったんだろう。
助産院で出産される方にとっては病院でのお産は不安でしょうね。
あまりにも違うような、印象、ですから。
帝王切開のときも思いましたが、お産は後から振り返って「いいお産」だったかそうでなかったかを考えるんですよね。
きっとこの妊婦さんも「これでよかった」と思うと思いますよ。
haruさんのような先生だったら。
by (2007-08-09 15:13) 

haru

ちばおハムさん、いつもコメントありがとうございます。
実は、夏休みをとっておりました。
短い間ですけど、十分にリフレッシュしました。
しかし、このほんの短い休みの間に、この方のお産が終わっていました。
もちろん、うちの部下のドクターと助産師さんたちには十分に申し送りをしておりましたので特に問題はなく、ちゃんと抗生物質の点滴もして、それ以外は医者の出番がまったくないくらいスムーズなお産であったそうです。
もちろん、赤ちゃんは小児科の先生にも診ていただき、大丈夫といってもらいました。

本当になんにもないお産にはドクターの出番がないんですよね。
by haru (2007-08-17 06:30) 

何事もなくスムーズなお産でよかったですね。
おめでとうございます!(出産されたお母さんへ)
by (2007-08-20 14:41) 

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