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木曜日の救急搬送 [産婦人科医]

うちの産婦人科では、予定手術を行う日が木曜と決まっています。
木曜以外に、火曜日の午前中もありますが、
婦人科疾患などのすこし時間がかかるような手術は原則、木曜日にします。

手術日には、手術そのものが終わってしまうと、
術後の患者さんの全身状態の管理やカルテ書きがありますが、
原則、それ以外の仕事はありません。
もちろん、外来に出ている先生もいますが、予約をそれほどたくさん入れないように配慮しています。
手術は、外科系医師にとって重要なものであり、
余分なデューティーや予定をなるべく入れないようにしています。
ボクは意外と気が小さいので、手術がある日は朝からピリピリ緊張していたり、
やたらテンションが高かったりしています。
手術が順調に終わると、1週間の仕事が全部終わったか思うくらい、
ホッとすることもあります。

そんな手術日の夕方に、
うちの産婦人科では、手術が終わっていることを前提に、
カンファレンスを行います。
産婦人科医が5名全員そろって、
1週間のMRIの画像カンファレンス、来週の手術予定の症例、
入院中の産婦さんの方針決定などなど、です。
たしかに、毎日、それなりになんだかんだ話し合うのですが、
それでも5名が全員1か所に集合する時間はなかなかないものです。

そんな、先日の木曜の午後に、周産期センターから母体搬送の依頼の電話がありました。
その日の手術がすでに無事終了して、
ちょうど、カンファレンスがそろそろ始まるか、という時間帯で、
まだ全員のドクターが集まっていませんでした。

 「妊娠〇〇週の破水、〇〇医院からの依頼、経産婦、胎児の推定体重〇〇〇〇グラム・・・・・。」

ナースステーションの電話で周産期センターからの情報を確認しながらメモを取っていくと、
それを聞きながら、周囲のみんなが集まってきます。
ナースや小児科の先生まで。
わざわざすこし大きめの声で確認すると、みんなに聞こえます。
NICUの空床状況や産科病棟の空床状況は、電話しながら、周囲のスタッフとアイコンタクトだけで
受け入れはオーケーってわかります。

 「うちは、受け入れは大丈夫です。 すぐに送ってくだされば結構です。」

その一言で、ナースステーションは、にわかに活気づきます。

搬送元の病院の主治医から改めて連絡が入り、もう少し詳しい状況を聞きます。

 「こちらはすでに準備できてますから、どうぞ。」
「じゃ、よろしく。」

電話の向こうの、主治医の先生がすこし安心された様子が声の調子でわかります。
周産期救急を中心に頑張っているボクらにとって、
ある意味、すごくやりがいを感じる瞬間でもあります。

救急車がまもなく病院に到着するという連絡が救急隊から入りました。
血圧や脈拍、出血の有無など救急車の中での様子も伝えられます。

この日は、木曜の午後だから、うちの産婦人科のドクター5人全員が今か今かと待ち受けていました。

「救急車、きましたぁ。」

事務からの連絡が入りました。
すると、ドクター全員がぞろぞろと救急外来に迎えに行こうとするのです。
みんなで笑いながらそれに気づき、迎えに行くのを2人くらいにしました。

 「5人全員で迎えに行くのは、やりすぎかなぁ。」
ボクが部下の先生にいうと、

「たしかに。 うれしがってるみたいですよ。」

 「いっそのこと、5人全員で、ゴレンジャーみたいにポーズとって、待ち受けてみる?」

「いやあ、それだけはやめておきましょう。」
目は笑っているけど、クールに拒否されました。

せっかく、ウマレンジャー(しつこい?)が勢ぞろいしてるのに、
なんかもったいないよなぁ・・・。

ゴレンジャー1.jpg

スタッフがいなくて、ひいひいしてる時には、こんな冗談もありませんでした。
一緒に頑張れるスタッフがいるからこそ、
笑顔で、余裕をもって患者さんと接することができます。

そして、元気な赤ちゃんを見守ることができるのです。

まだまだ、「ボクら」は頑張れます。

(Googleで検索したゴレンジャーの画像です。無断転載をお許しください。)




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コメント 5

ちばおハム

きゃー、ゴレンジャー、懐かしすぎますよ。
5人で迎えたらちょっとびっくりかも。
でもいっちゃいますよね。普通・・・

by ちばおハム (2010-12-10 14:58) 

S-mam

はじめまして。
去年の11月に出産してから 先生のblogをいつも拝見しております。
産婦人科医が 年々少なくなり 過重労働の中 本当にご苦労様です。
お産の時って ドクターが そこにいるだけで なぜか安心します。だから ウマレンジャー5人の先生がいたら ママも安心ww 沢山の妊婦さん、沢山の患者さん 診るのは ほんとっーーに 大変でしょうけど 頑張ってください★
by S-mam (2010-12-11 07:58) 

haru

ちばおハムさん、コメントありがとうございます。
このゴレンジャー、今のレンジャーものより少し足が短いですよね。
それゆえに、なぜか親近感がわきます。
by haru (2010-12-13 23:38) 

haru

S-mamさん、コメントありがとうございます。
じつは、最近、産婦人科医は少しずつ増加しています。
劣悪な労働環境を少しでも良くしようと、行政をはじめ、皆さんが協力してくれています。
若いドクターも、ボクらの仕事の意義を理解してくれているようにも思います。
頼りにしてくれている患者さんがいるからこそ、ボクらは頑張れるのです。
by haru (2010-12-13 23:45) 

S-mam

レスありがとうございます。
産婦人科医 増えてきてるんですね~!よかったぁ♪
これで、お産難民が減りますね!
毎日 忙しなくて 大変でしょうけど お身体を大切に。
寒いので 風邪などひかぬように。
お仕事 頑張ってください。
by S-mam (2010-12-14 21:43) 

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