感動のお産でした
少し前に双子のお母さんについてここで書いたことがあります。
昨日、無事に経膣分娩されました。予定日を少し過ぎていたので分娩誘発を行いました。
双子ちゃんのお産では、産科医もふたり必要だし、助産師や小児科医など、なにかと分娩室にいつもより多めに人が出たり入ったりでついバタバタしがちです。それ以外に、万一の帝王切開に備え、手術室のナースにも待機してもらったり、分娩室の外でもそれなりにそわそわしていることもあり、なによりも主治医はいろいろ手配することが多く落ち着かないものなのです。
しかし、今回のお産はしずかで、楽しかったのです。
一人目が無事生まれて、二人目がじわじわと産道を降りてきているとき、2回目の陣痛に耐えながら、お母さんは生まれたての赤ちゃんを抱っこしてニコニコ笑っているのです。もちろん、旦那さんはずっとそばでニコニコ立ち会っています。
最後まで素敵な笑顔と愛に満ち溢れていました。
陣痛誘発を行ったということ以外は、安全で、自然で、赤ちゃんも二人とも元気でした。
このお母さんは、管理を目的に妊娠36週から入院してもらっていたので、かれこれ一ヶ月ほど入院していたことになります。逆子になって帝王切開になりかけたこともありました。入院が長くなって分娩予定日が近づいたころ、いつも静かな本人に、「不安はありませんか?」と聞いてみたことがあります。たいていのお母さんなら、一度ならず、主治医に不安や痛みをぶつけてくれるはずだからです。彼女は首をかしげながら、「先生は変なことを聞くなぁ。」と思っているようでした。
「なにが○○さんを支えているのですか?信念ですか?」とさらに聞いてみました。
「・・・すごく楽しみなんです。赤ちゃんに会えるのが。それだけです。」
少し考えた後でそう答えてくれました。
お腹が前に向かって直角に飛び出るくらい大きくなって、お腹の上にコップが置けるくらいになって、しんどくて毎晩ほとんど眠れていないくらいだったのに・・・。
このひと言は、ボクの心にしみました。
本当におめでとう。そして、ありがとう。
haruさん、はじめまして。borderと申します。
とっても素敵な出産だったんですね!
双子ちゃんママのこの↓コメントに、ジーンっときちゃいました。
「・・・すごく楽しみなんです。赤ちゃんに会えるのが。それだけです。」
haruさんの日記から、暖かな気持ちをもらいました。
また、遊びにきますネ。
by border (2007-02-23 21:41)
borderさん、コメントありがとうございます。
この方のお産には、立ち会ったうちの病院の助産師さんたちもみんな感動したそうです。ボクもその日は当直で、病院に泊まりだったのですが、興奮してなかなか寝付けなかったです。
こういった印象深いお産があるから、ボクら産婦人科医はがんばれるのです。
borderさんも忙しいみたいですが、がんばって下さいね。
よろしく。
by haru (2007-02-24 15:29)