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もう2年経ちました [産婦人科医]

気がついたら、
もう3ヶ月も更新していませんでした。
いろいろ考えることがあって、
なかなかこのブログに、
常々感じている、自分の気持ちや考えをまとめる時間がありませんでした。

そういいながらも、ボクが今の病院に移って、
丸2年が経ちました。

前の病院では、あの場所とあの立場で、自分ができることをやり尽くした気持ちと、
しんどくて、自分が自分らしくあり続けることが難しくなった気持ちもあって、
多くの皆さんに迷惑をかけながらも、飛び出してしまいました。

2年経った今、ボクはどうでしょう?
ちゃんと、自分が自分らしく、やるべきことを十分にできているのでしょうか?
そもそも、ボクの「やるべきこと」ってなんだったでしょう?

スタッフや、病院の規模の大きさにも助けられ、
なんとかそれらしく、日々の業務をこなしています。
でも、なぜか、しっくりこないのです。

もちろん、関わった患者さんや産婦さんには
今まで通り、正面から向かい合い、そして、寄り添っています。
その姿には、なんにも変化はありません

「どっぷり感」というのでしょうか。
前みたいに、深みを感じないのです。

自分が歳をとって、深みに入ると足をすくわれるから、
自然と浅瀬を選んで歩くようになったのでしょうか?
次々とたくさんの患者さんや産婦さんがいて、
単に、ひとりひとりの接する濃さが薄まっているのだけなのでしょうか?
それとも、多くのスタッフに恵まれているおかげで、大きな波が打ち寄せても、
それほど強い力を感じないだけなのでしょうか?

でも、落ち着いて、周りを見ても、
きっと、ボクの立ち位置、向きはブレていないはずです。
たしかに、
力の入り方、というか、抜き方、というか、
その辺は、もう少し加減が必要かもしれません。

もう2年ですが、
きっと、
まだ2年、なんだと思います。
(前いた病院では、10年ちょっと頑張ったんです。)

毎日、毎日、忙しくこなしている仕事に深みが備わってくるには、
まだまだ時間がかかりそうです。

修行はこれからも、まだまだ続きます。

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カメリン

先生、はじめまして。
更新を楽しみにしていました。
が、何やら心がモヤモヤしておいでの様子。
お気持ちの奥深くを推し量ることはできませんが、でも、いつも患者さんに寄り添う姿勢に、みなさん安心していらっしゃると思います。
そんな先生に出会えることは、患者さんにとって大変恵まれた幸せだと思うのです。

私事ですが、去年の暮から気になる症状があり、悩んでいました。
でも、産婦人科へ行くのがとても嫌だったのです。
末子を出産してから24年も経ち、自分も年齢を重ねてくると若い頃とは違った恥ずかしさがあって躊躇してしまいました。
しかし、たびたびの不正出血にとうとう意を決して門をくぐってみると、内診台からエコーまで、いろんなものが進化していて私は浦島太郎のようになりましたが、でも、とても良い先生に出会えたのです。
丁寧な説明と気さくなお人柄で、産婦人科の敷居が少し低くなったように感じ、以来マジメに?治療に通っています。

haru先生、しっくり来なかったりどっぷり感が薄かったりのことも、時間の経過とともに深みを増してくるのだと思います。
どうかお身体を大切になさって日々の診療を頑張ってくださいませ。

by カメリン (2013-10-12 22:23) 

ちばおハム

haruさん、異動から2年ですか。
本当に日々の医療活動(というのでしょうか)に感謝感服いたしております。
以前のblogでも感じましたが、haruさんのblogを通して、「今のこの時期に若手を育てなければなあ」と感じます。この気力、体力で働ける期間が残り少ないとわかっているから、そして仕事に終わりはないからそう感じるのかもしれません。
自分の変わり、でなくていいんだけどなあ。

コメントじゃないような…
いつも勉強になります。ありがとうございます。
by ちばおハム (2013-10-14 06:11) 

kurashiki-keiko

10月15日が出産予定日の長男の嫁がいます。リンクのブログ記事にも書いたのですが、私は海辺の町で育ったので、そこでは潮が満ちてくるときにお産が多い、と経験的に信じられていたようです。で、ネットで調べるとそのようでもあり、関係ないようでもあり。
私自身は実は産婦人科医の娘でして、子供3人は亡父の勤める病院で出産しております。父からそんなことを聞いたことはなかったけれど、多い時と少ない時の波は確かにあったみたい、私の時は4人続けて一晩にお産、というときもありましたし。
いつでもいいですが、満ち潮とともに人が生まれてくるというと、自然の神秘に抱かれているような気がしてきます。いい子が生まれますように、と祈るような気持ちです。
お仕事ご苦労様です。
by kurashiki-keiko (2013-10-16 05:06) 

タケ

haru先生のブログを読み吉村泰典先生の『産科が危ない』を再読してました。日本の周産期医療が素晴らしく、救急率(母子共)も世界的に高いが、高くなればなるほど、お産=安全神話となり、何かあれば訴訟にされやすいと…。複雑な思いになります。
私自身入院中、いろいろな妊婦さんがいらっしゃることを知り、妊婦=ストイック、という先入観が壊されました。破天荒なママさんって結構いるんですね。
私のような一般人が、haru先生のブログや吉村先生の著者を通じ、現状の産科医療に理解を深める重要性を感じました。
by タケ (2013-10-16 14:35) 

セレナーゼ

病院勤務2年目達成!!おめでとうございます。

しんどい時もあるかとも思いますが、それでも2年目に来られてことはすごいことだと思いますよ。

私は人にがんばれなどとはいえません。がんばれすぎてしんどくなられるほうがつらいのです。

人生は山あり谷ありです。病院勤務も山があるのかもしれません。

とにかく、2年目達成に乾杯です。
by セレナーゼ (2013-10-24 01:03) 

ゆみこ

お久しぶりです。
前にいらした病院で3年ほど前にお世話になりました。切迫早産で1ヶ月ほど入院しましたが、予定日2日前に無事に出産した息子ももう2歳 半です。毎日元気に保育園に通っています。
私も育児に家事に仕事にバタバタしていますが、じっとしているのが嫌いな性分なので(入院は辛かった…)毎日充実しています。
もし第二子ができたらまた先生に診て頂きたいと思っていたので、病院を移られたと知って残念でしたが、このブログを見つけられて良かったです。ご活躍をお祈りしています!相変わらずお忙しいようですが、お身体大切になさって下さい。
by ゆみこ (2013-11-12 21:02) 

haru

カメリンさん、コメントありがとうございます。
自分自身を振り返り、その仕事に深みを感じないのは、やはり忙しすぎるからだと思います。
時間の経過とともに、自分が変化して、大切なものに気づいていてもあきらめるしかない状況にあるからです。しかし、そうやって日々を過ごしていても、結果には大して変化はないのです。
もしかしたら、自分がこだわってきたことが、大して重要ではなくて、「無駄なもの」であったのかもしれないと思うこともあります。

by haru (2013-12-02 18:09) 

haru

ちばおハムさん、コメントありがとうございます。
管理職でもあるので、医療行為意外にも、会議や書類仕事もたくさんあり、少々疲れ気味であると自覚しています。
このくたびれ感が、若い先生たちのやる気を削いでいないかと、心配しています。
確かに、自分がフルで、力一杯働ける時間は残り少ないかもしれません。力の抜き具合を調整していかないといけませんね。
by haru (2013-12-02 18:16) 

haru

kurashiki-keikoさん、コメントありがとうございます。
元気なお孫さんが生まれたでしょうか?
いつ生まれてくるか、わからないからこそ、お産は神秘的なのかもしれません。赤ちゃんは、そういった大人たちの、一番都合のいい時間帯に生まれてくるなぁ、と思うこともしばしばあります。一方で、上のお子さんがいて、それを看ていてくれる人に負担をかけたくないと、計画的にお産をされる方もいます。
その子が生まれたときのことや考えていたことを、その子が大きくなったときにいろいろ話してあげたいですね。
by haru (2013-12-02 18:32) 

haru

タケさん、コメントありがとうございます。
吉村先生が書かれている内容も、産婦人科医が一番しんどい時期を少し過ぎ、少しは改善したように思える今だからこそ、冷静に受け入れることができます。
破天荒な妊婦さんたちにも言いたいことは(本当に)たくさんありますが、まずは、元気な赤ちゃんを産んで欲しいと願いつつ、日々過ごしています。
by haru (2013-12-02 18:38) 

haru

セレナーゼさん、コメントありがとうございます。
2年が過ぎた、と書き込んで、ぼーっとしていたら、さらに2ヶ月が過ぎていました。
こんなふうに、人生はあっという間に過ぎていくんだと思います。
自分が頑張ったことに、結果がついてくるのは、少なくとも5年位はかかるでしょう。それがわかっているだけに、「先が見えない」不安があります。歳が歳だけに、「先は見えている」のですが。
by haru (2013-12-02 18:53) 

haru

ゆみこさん、コメントありがとうございます。
今も、前いた病院の外来のお手伝いをしています。妊婦さんではなくて、自分が手術した人や、更年期症状で治療していた患者さんを引き続き診察しています。そうはいっても、2年が経つと、たくさんおられた患者さんたちも、少しずつ減ってきています。
基本的には予約のみの診察なのですが、先日、患者さんが少なかったので、予約外の患者さんを、常勤の先生の代わりに何人か診察しました。
そしたら、3年ぶりに妊娠して、3年ぶりに病院にきたら、ボクにあたり、言われるまでボクが既に辞めていることに気づかなかった方がおられました。
これも何かの縁ですねと、笑っておられました。
by haru (2013-12-02 19:02) 

ちゃちゃまる

初めまして☆41歳で初産、来春出産予定の者です。今通っている産院は、先生が何人かいらっしゃいます。毎回それぞれ、お話される内容や指示、対応も違い、少し不安で、悩んでおりました。産院を変えた方がいいかな?と思ったりもしましたが、色々検索していたら、haru先生のページに・・・一生懸命、全力を尽くされていて、そして、色々な思いを抱きながら診察されているのだなぁ・・・と思い、今通っている産院の先生方も、きっとそうなんだな・・・と思いました。時には、イライラもするだろうし、様々な気持ちもある中で、診てくれていると思ったら、何だか、私も頑張ろうって、思いました。haru先生、応援しています☆来春元気な子を産めるように、私も、今を一歩一歩進んでいきます。長々と失礼致しました。また、ブログ読ませて頂きます☆感謝です。
by ちゃちゃまる (2013-12-05 19:17) 

あさがお

前回の記事にもコメントした重度の腺筋症もちの妊婦です。
ようやく、26週になりました。
前の主治医に妊娠はしても継続は出来ない!と言われていて諦めていましたがなんとかここまで来ました。
病院は変わらずに今の主治医を信じてお願いする事にしました。24時間緊急手術には対応している病院ですので!
35週には帝王切開になりそうですが、頑張ってます。
図々しく質問してすみませんでした。
今の主治医が流産を報告する時のかなしそうな顔と、その後に妊娠した時、心拍を確認してすごく嬉しそうにカーテン開けて、あるよっ!と言った時の表情が忘れられません。
宇宙人みたいに不思議な先生ですが、心から感謝しています。
我が子と私の命を預けるに、この方にお願いしてダメなら仕方ないわ。と思えますし、夫も同意してくれました。
寒くなってきました。先生もお身体ご自愛くださいね。本当にありがとうございました。
by あさがお (2013-12-07 11:30) 

haru

ちゃちゃまるさん、コメントありがとうございます。
産科医が何人かいて、いうことがみんなそれぞれ異なると、確かに混乱されるかも知れません。しかし、いろんな意見があっていいのではないかと思います。
程度の問題もあります。
何かを質問してみんなが同じことを言うのなら、きっとそれは絶対本当なんだろうし、少しずつ違うなら、きっとどっちでもいいことなんだと思います。
高齢初産婦さんは、一般的には「ハイリスク妊娠」なのですが、一般論として受け止めるのか、その妊婦さんを診察した上で受け止めるのかで、指導内容も変わってくると思います。
いろんなひとに診てもらって、それぞれ言い方も違うと思いますが、そういうときはたいてい大丈夫なんです。

無理せず、いつもどおりに過ごしてくださいね。
(診察していないと、こんな感じになります)
by haru (2013-12-14 07:21) 

haru

あさがおさん、コメントありがとうございます。
無事に過ごされているようでなによりです。
自分とお腹の赤ちゃんの命を預ける、といえば大げさかも知れませんが、それなりの信頼関係がないと、乗り越えられない妊娠かも知れませんね。
26週なら、次の目標は、28週、30週、32週・・・どんどん、先に進みますが、明るく行きましょう。
by haru (2013-12-14 07:28) 

マグ

はじめまして、今切迫早産で入院してましてこのブログを見つけました。
21週で入院し、張り止めの点滴をしながらようやく26週です。
まだまだ不安は多いのですが、主治医の先生はじめ助産師さん、何より家族に支えられてると感じる毎日です。
入院してる病院は出産ラッシュらしくなかなか先生とゆっくり話をする時間はないのですが、このブログに出会い先生がたもこういう風に思ってくれてるのかなとか思うようになりました。
エピソードの中で同じ週数の方が無事正期産を迎えられた話もあり励みになりました。まだ先は長いですが1日でも長くお腹で過ごさせてあげれるよう頑張って安静にしておきたいと思います。先生もお忙しい中お身体ご自愛ください。
by マグ (2013-12-27 14:56) 

haru

マグさん、コメントありがとうございます。
切迫早産での入院、今はスマホがあるので、みなさん情報を簡単に手に入りますね。
21週で入院したときは、厳しい説明を受けたと思います。状態が落ち着かないときは、日に何度も主治医がベッドに訪れたと思います。少しずつでも状態が安定すると、主治医は、一日に1回しか来なくなったりします。
今日は緊急手術があって・・・などと理由をいうかもしれませんが、主治医が来る回数が減ってきた、ということは、自分の状態が安定しているのだと思っていいと思います。
ボクは、入院が長い患者さんの病室を訪ねて、いすに座って、つい長話してしまうことがあります。
診察してるのか、休憩しているのか、わかりにくい時間です。
by haru (2013-12-29 06:24) 

あさがお

今月36週帝王切開で無事に産まれました。赤ちゃんは元気で3kgを超えていました!
出血は3リットルで貧血になりましたが退院して今は毎日、夜中の授乳を頑張っています(*^^*)幸せです。

赤ちゃんを腕に抱きしめて退院できました。
妊娠中、前の主治医の
あなたは産めない。分厚い風船は膨らまない。あなたの子宮も無理。摘出したら?が何度かリフレインして苦しかったですが…

可愛い息子を囲んで毎日幸せです。
妊娠中、出産の辛さ…息子の顔を見たら何処かへ飛んでいってしまいました。

通りすがりの私の話しに丁寧な返信をくださりありがとうございます。
お仕事頑張ってくださいね。

by あさがお (2014-02-25 13:20) 

haru

あさがおさん、コメントありがとうございます。
3リットルの出血、大丈夫でしたか?
あなたは産まない方がよい、ということが、実はボクにもあります。
いわれた本人がどんな気持ちになるか、というより、
その人が妊娠したときに、どんなに危険で大変かをイメージするからです。
これからは、
もっと、もっと、言われたときにどんな気持ちになるかをイメージして説明していきます。
忙しいとは思いますが、子育て、頑張ってください。
by haru (2014-02-28 12:08) 

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