SSブログ

果たせなかったこと [産婦人科医]

この度、開業をするにあたって、
産婦人科医として、
果たせなかったことを考えてみました。

一つは、
自分が取り上げた子どもの、そのお産に立ち会うことです。
今までいた病院では、
約20年前に数年間働いていたこともあるので、
「自分が取り上げた赤ちゃんの、そのお姉ちゃんのお産」は、
3回ほど立ち会いました。
つまり、その患者さんのお母さんが、ボクの担当であった、ということです。

ただ、ボクが取り上げた子どもの、
月経困難(いわゆる生理痛)の主治医をすることはできました。

先日、この患者さんが、いつものように、お母さんと薬をとりに来院されたので、
 「今度ボク、退職するんです。」
「えーっ! 先生に赤ちゃんできたら、お願いしようと思ったんですよ~!」
「さっさと、嫁に行かん、アンタが悪いんや。」
と、すかさず、お母さんのツッコミが・・・。
わはは。

退職して、比較的病院の近くで開業することを告げると、
「どこまでも、ついて行きます!」
って、言ってくれました。
 「ありがとう。」
逆に、そう言ってくれないと、少し寂しい気持ちもしました。

もうひとつは、
自分自身の孫を取り上げることです。

うちの息子が、結婚して、その奥さんが妊娠するとは限らないので、
数の理論から言っても、
最初の件よりも、もっと確率が低くなります。
そもそも、
息子の奥さんが、診察させてくれるような気がしませんし。

あと、果たせなかった残念なことがあります。
息子と手術をすることです。

上の息子は、
今、高校生ですが、
うれしいことに、医師を目指しています。
晴れて、医学部に合格したとしても、
将来産婦人科医になるとは限りません。
臨床研修医で、自分がいる病院にローテーションで来たとしたら、
ちょっとは可能性もあるかも知れませんが。

なぜ、そんなことを考えているかというと、
うちの病院に、
上司の息子さんが数ヶ月前に赴任してきたのです。
ボクと上司は、ボクが研修医からのお付き合いなので、
息子さんは、小さい頃から面識がありましたが、。
まさか、一緒に働くなんてイメージしていませんでした。

上司が、自分の息子さんと一緒に、仲良く手術する姿をみて、
じわっと、うらやましく思いました。
自分が、長年培ってきた、技術やコツ、手術に対する思いまで、
息子に伝えることができたのなら、
どんなにうれしいだろうか、と考えました。

でも、
逆にできそうなこともいくつかでてきました。

いろいろ考えながら、
毎日、過ごしています。

nice!(5)  コメント(10) 
共通テーマ:妊娠・出産

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。